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夏期休暇2

  仕事が終わり、透は彰広に連絡をした。近くで時間を潰していたらしい彰広がすぐに迎えにきた。 「今日はお前の家行くからな」 「えっ」 「どっかに車止めて、飯食うか。近くに店あるか?」 彰広が透の部屋に来るのは初めてのことだった。 「近所によく行く居酒屋あるけど、そこでもいいか?」 「ああ」 ───今日はどうしたんだろう? 学校まで迎えに来たことにも驚いたが。 いつもは彰広の家で過ごすし、食事も彰広の行きつけの店ですませていた。 ちらりと見れば、ラフな格好で無造作なままの髪の彰広は学生時代を思い出させた。 ヤクザには見えないが、カタギにも見えない。硬派なホストか目つきの悪い青年実業家といったところか。 どちらにしろ、彰広は男の魅力に溢れ、人目を引く容姿をしている。 「なんだ?」 「いや、今のお前を見たら生徒のママさん連中がきゃーきゃー言いそうだと思って」 「お前はきゃーきゃー言わねぇのか?」 少しふざけた調子で彰広が言う。 「きゃーきゃーは言わないけど、相変わらず男前だなぁと思って見てるよ」 「……後でたっぷり可愛がってやる」 彰広はギロリと透を見て言った。 「はぁ? なんでだよ」 昔のように軽口を叩きながら、彰広は車を走らせた。

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