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第12話

更紗side 昨日の智輝はどこか変だった。理由はわかってる。 みっちーと別れたから。智輝はきっと本人が気付いてないうちにみっちーに俺たちとは違う感情を持っていたんだろう 智輝の家は名の知れたお金持ち。お金があるからかどこか回りの人と感覚がずれていた。 智輝には兄がいる。その兄もそう。 俺が本当に好きだったのは兄の琉輝の方。幼馴染みで家庭教師をしてくれてた琉輝が大好きだった 俺の初恋。そして俺の初めての人。全て捧げてた人 でも彼にとって俺は遊び。飽きたら捨てられた。 俺だけは特別なんて勘違いしてた 弱っていたとき側にたまたまいた智輝。智輝に無理矢理乗っかり智輝を犯した。とても琉輝に似てる智輝を利用した。でも智輝は笑ってた。求めてくれて嬉しいと 智輝は何でも優秀だけど次男。家の人は智輝をいないものとして扱っていた。 誰にも求められない環境で育った智輝は誰に教えられることもなく回りの様子を見て成長していく。 普段から必要とされていない智輝はたまに両親や兄から頼まれ事をするとどんなことでもやった。 それがどんなに汚いことでも。 家族は面倒な事は全て智輝に押し付けた。 智輝は笑顔で全てを難なく解決していった。 その解決方法には自らの体を差し出すものもあった。 そんなことを幼い頃からさせられてきた。 智輝は少しずつ世間とずれていった。 「俺と付き合って!」 「付き合うって何?」 「恋人になって」 「恋人?だったら更紗はその間は俺を求めてくれるの?」 「うん。」 「ならいいよ。」 誰かにとにかく求められたい…それが智輝の希望。それを琉輝に捨てられた寂しさを埋めるため俺は利用した 「恋人になってってまた言われちゃった」 「そう?なら付き合えば?」 「え?恋人って何人いてもいいの?」 「うん。俺も沢山いるよ」 「わかった」 気付けば容姿が優れ誰にでも優しい智輝は常に複数の恋人がいるようになっていた。 おかしなことだって俺はわかってたけどでも智輝にそれが普通だと言い続けた。だって求められているときの智輝はとても幸せそうだったから。嬉しそうだったから…これまで家族の愛情を受けてこなかった智輝が愛情を貰えるということは智輝にとっては必要なことだと…どうせ貰うなら多くの人からの方がいいとそう思ってたから でも智輝から好きになる人はこれまで現れたことはなくて告白されたらみんな恋人にするという変なルールが定着していった そんな智輝が放っておけなくて俺は離れる選択が一度たりとも浮かんだことはなかった。 そんなとき出来た新しい人。それがみっちーだった。 みっちーはきっと智輝の噂なんて知らなくて智輝の家のことなんて知らなくて純粋な智輝の優しさに引かれたんだと思う。 智輝が初めてみっちーに会ったのは入学式の時。 あのとききっと智輝はみっちーに一目惚れしたんだと思う。 その日会っていたのは俺だったけどずっとみっちーの話をしてたから

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