47 / 321

第47話

深雪から聞く内容は想像以上に酷いものだった。 「だから…僕は…琉輝さんを選ぶ」 「ほんっ」 言葉を紡ごうとすると深雪が静止した。耳元で囁く 「これ以上はここでは話せない…みっちーの部屋にいっちゃダメ?」 真剣な眼差しに見つめられ頷いた。 部屋を移動する 俺に同室の人はいない。 外部生の人数的にこんな状態なのだ 「深雪。部屋を移動するってどういうこと?」 「あの部屋には…盗聴器がある可能性があって…多分他の子達の部屋もつけられてるはず…でしょ?由斗」 「あぁ…琉輝さんのことだからね。智輝を擁護するような発言はしない方がいい…また深雪がひどい目に遭う」 「そんなこと…」 「あり得るんだよ…」 「僕はあの人のペットになった。あの人のいうことは絶対だし拒否できない…智輝をとことん追い詰める為には…」 「そんなの…」 「琉輝さんが飽きるまでは続くはず…」 「僕はこれで済んだ…でも…京ちんと空ちゃんは…もっと大変なことになってる…他のみんなも何をされたかすべてはわからない…ただ僕は亜咲ちゃんに呼び出された。それも琉輝さんに屈した後なのかも…」 「違う…亜咲斗は…自ら進んでやったはずだよ…昔から智輝のこと嫌いなんだ…智輝は気付かないけど」 「じゃあ何で付き合ってるの?」 「智輝の肩書きが欲しいだけ…」 「え?」 「信じられないだろうがな…」 これには深雪も驚いていた 「亜咲斗は…劣悪な環境で育ってきた…」 そうはみえない…誰よりも聡明で賢く…みんなに慕われて…立ち振舞いも上流階級の人…そんな姿しか知らない。想像が出来ない 「亜咲斗の両親は幼い亜咲斗の育児放棄をした。食事も2日に一度…パンを一切れとか廃棄品のおにぎりとか…もちろん風呂も入れてもらえない。家ではほぼ裸同然で生活させられる…寝る場所も与えられず座ったまま眠る。国から出る手当ては全て酒とギャンブルに消えていった。それでも足りなくなった両親は…亜咲斗を金持ちに売った…それ以来両親と亜咲斗は会ってない。買われた先は所謂少年趣味の人。ちゃんとした格好、食事も与えてもらいふかふかのベッドで眠れる…幼稚園や学校にも通わせてもらえる…それまでより大幅によくなった…でも…買い主は年端も行かない亜咲斗を…自分好みにするため毎日毎晩汚した…主人だけじゃない…他にも色んな大人を相手させられてきた。でもその後は沢山お金がもらえる…お金のためならどんなことでもするように教育されてきた亜咲斗は客の男達に気に入られるため多くの教養を身につけた。どんな人にでも合わせられるように…そんなとき智輝の家族に出会った。自分と同じ金と権力に目がないあの人たちに。そんな中にいる智輝はいつもにこやかに笑っていて…誰にでも分け隔てなく優しくて…利用されていることにも気付かない智輝が亜咲斗には目についた…智輝を陥れるため…あいつは智輝の恋人となった。それが切っ掛け…智輝の家は大きな家…金の価値観が似ているあの家に入りたがっている。家族の中でも特に卑劣である琉輝さんを心から慕っている…」

ともだちにシェアしよう!