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第75話
琉輝side
「亜咲…」
「あれ?琉輝さん。今さら何?落ちた僕を笑いに来たの?」
「謝りに来た」
「…は?」
「すまなかった」
「じゃあ俺のものになってくれる?琉輝さん。約束だったでしょ?」
「それは…出来ない…大切な…唯一の人が出来てしまった…ごめん」
「何それ…何なの…!酷い!!酷いよ!!」
「ごめん…」
「…わかった…許すよ。俺を抱いてくれたらね」
「それは…」
「出来ない?」
「ごめん」
「やだ。許さない…」
「無理だ…」
「嫌だ!」
「ふぅ…わかった…抱いたら…いいんだな」
「いいよ。来てよ。前みたいに愛してよ」
「わかった」
何度か交わるが亜咲はなかなか離してくれなかった。
沢山の花を俺の体に散らし艶やかに啼く
やはり亜咲斗は綺麗だった…でも…俺には…ごめん
ぐったりとなった亜咲を風呂にいれてやる
綺麗にしてベッドへ運び離れた
「琉輝さん…」
「何だ」
「その唯一の相手って…僕も知ってる人?」
「…」
「いいでしょ?最後に教えてくれたって」
「知ってるはずだよ」
「みっちー?」
「うん」
「そっか…みっちーいい子だもんね…智輝はどうしてる?」
「…」
「ねぇ!教えて?」
「…俺もわからない…ただ…智輝にはいつも由斗くんがついてくれている」
「そっか…そっ…か…」
「じゃあそろそろ行くから」
背を向け歩き出す
ドスッ…
「っ…亜咲…お前…」
「何で…何でみんな幸せそうなの?何で俺だけこんな目に合わないとならないの?可笑しい…可笑しいよ!!」
何度もナイフを振り下ろす
上に乗られてるし最初の傷が思いの外酷くて動けなかった
俺の中から夥しい量の血液が流れていく
返り血に染まる亜咲はどうしようもなく綺麗で…
これまで俺が多くの人へしてきたことはきっとこれでは足りないほど…
いつかはこうなる運命だった…当たり前の幸せなんて望んではならなかった…
あぁ…何で…俺は…
せめて…せめて…路夏くんは…智輝は幸せであって欲しい…
ごめん…ごめんなさい…
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