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第95話
光に手が届く
『大好きだよ。路夏…』
毎日聞いた声がもうすぐそこまで来てる
思いっきり手を伸ばして光を掴んだ。
「…」
目の前には綺麗な顔をした大好きだったあの人の顔
「路夏…路夏!!」
思いっきり抱きつかれるけど抱き返せない。力が入らなくて…
「路夏!!」
お義母さん…
「お兄ちゃん。初めまして。紡だよ。僕のせいでごめんね…」
知らない顔…でも暖かだった母に良く似てる…
「お医者さんを呼んで」
慌ただしくなる。ここどこなんだろう?ゆっくり視線を動かすと真っ白な天井と真っ白な壁。
そしてあの独特の臭い…
あぁ…ここは病院なんだ…
目の前に宝石みたいにキラキラしてる瞳…
智輝…
呼びたいのに声にならない…
光の奥からずっとずっとずっと呼んでくれた…好きだって言ってくれた…
ごめんね…琉輝さん…やっぱり俺は…
琉輝さんは気付いてたんだよね…俺の本当の気持ちに…
琉輝さんの姿を通して智輝を見ていたことに…
だから…だからあなたは俺に手は出さなかったんだよね…
なんて…優しい人…
琉輝さん…お礼言わなきゃ…ごめんねって言わなきゃ…あなたは笑って背中を押してくれる?
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