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更紗の場合/8

「行きたいとこある?」 「美芳と一緒ならどこでもいいよぉ」 「ん~そうだな…すこーし遠出しよっか?」 「うん」 電車に揺られ長閑な街に辿り着く。 近くには温泉街があるようであちこちで湯煙が上がる。 ゆっくりと散策をして目についた旅館に入る。 「泊まりでもいい?」 「え?着替えとかは?」 「旅館にランドリースペースあるみたいだし部屋には浴衣あるから大丈夫でしょ」 「そっか」 通された部屋は飛び込みのわりには綺麗で広い場所だった。 部屋には露天風呂もついていて食事は部屋に運んで来てくれるらしい。 「宿代は?」 「ああ。それは心配しないで。大丈夫」 「俺温泉旅館とか初めて泊まるよ!!美芳と一緒で嬉しい!!」 抱きつくと美芳が嬉しそうに笑った 「もう…更紗…可愛い…」 夕飯までまだ時間がある。 沢山のお土産物屋さんやカフェなんかもあり、あっという間に時は過ぎていった 「そろそろ夕食の時間だから戻ろうか」 ずっと繋いだままだった手を再度きゅっと握り直して歩き出す。 「またこうやって一緒に歩きたいな…」 「うん。また行こうね」 その約束は果たされないことをこのときの俺たちはまだ知らなかった…

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