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更紗の場合/31
佐知くんの傷は大事にはならず直ぐに退院できたようだ。
佐知くんに最後に会ったとき佐知くんはたくさん反省していて俺にももう近づかないと約束してくれた
佐知くんは根は良い子、だからきっと大丈夫…
俺はまた実家に戻ったが大学は辞めた。
美芳が呆れちゃうかもな…
バイトもこれじゃあ仕事にならないから今日はバイト先に出向き謝罪をしなければ…そう思い向かった
「更紗!!大丈夫!!??」
事務所に入ると店長が直ぐに駆け寄ってきた。
「更紗。話は聞いたよ…」
持ってきたノートに言葉を書き綴る
『長いこと無断欠勤してしまってすいませんでした』
「君は何も悪くないでしょ。大丈夫だよ」
『ご迷惑かけましたし声もでないので仕事になりません。だから辞めます。本当にすいませんでした。お世話になりました』
「待って!あのさ店頭じゃないなら声でなくてもやっていけるはず。君は仕事も頑張ってたし良くできるからこのままここで頑張って欲しい。無理はして欲しくないから出来る範囲でいいよ。残らないかい?」
『いいえ。ご迷惑掛けたくないので。』
「でもどっちにしてもお仕事しないと生活大変でしょ?この状態じゃ他のところとか…難しくない?言い方狡くて悪いけど…他では…雇うの厳しいかもよ?狡くても君にはここにいて欲しいな」
『考えさせてください』
本当は挨拶を終えたら死のうと思ってた…これ以上生きていたって迷惑しかかけないから…
それをきっと察したのだろう。
「わかった。また明日ここに来て?約束ね」
結局店長の真剣な眼差しに頷いた。
「何か食べてく?今日の賄いはね更紗の好きなオムライスだよぉ。おーい。藤ーっ」
パタパタと足音が聞こえる
「失礼します」
「藤。更紗にオムライス持ってきて」
「わかりました」
しばらくしてふわふわのオムライスが運ばれてきた。あまり食欲はないが一口食べる。
あぁ…美味しい…とっても優しい味…
「ふふっ。良かった。口にできたね。」
気付けば半分くらいは食べていた。でも沙智くんと過ごしていたときにあまり食べなかったからこれ以上は食べられそうもない…
俯くと店長が頭を撫でてくれた。
「食べられたね。えらいえらい」
涙が零れた…
「よく頑張ったね…大丈夫だよ」
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