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更紗の場合/33

賢人の家はシンプルで余計なものはない。 「適当に座って」 一度だけここに来たことはある。 たまたま道端で出くわして上がらせてもらった。 だからなんとなく覚えてたこの家。あの日はここに向かって走ったんだ 「更紗。ミルクティでいい?お前好きだったろ?」 頷くと慣れた手つきで紅茶を淹れる 良い香りが漂ってきた 「ほれ。飲みな」 美味しくて笑みが溢れてたらしい 「っ…お前相変わらず綺麗な顔してんな」 首をかしげると賢人が手で顔を覆う 「やっぱすげーや。智輝の恋人の中でも深雪とお前は特別綺麗だったからな。つい見とれたことあるからさ」 そんなの知らなかった。 「いやぁ、まじ綺麗だわ」 あの堅物な賢人に真面目に真っ直ぐ見詰められながら言われると何か照れる 「あのさぁ。照れるとか可愛すぎだろ。言われ慣れてるだろうに」 確かにセフレたちに散々言われて来たけどそれはリップサービスだと思ってたから真剣に言われたという記憶はなかった 顔を横に振り賢人を見ると顔を赤くした賢人がいた 「はぁ…なんか…増してるよなぁ…綺麗さが…間違い起こしそうになるわ」 ぶふっ 思わず吹き出してしまう 「ちょっ…きったねぇーなぁ」 賢人は笑いながらティッシュを渡してくれた あぁ…やっぱ賢人は暖かいな 賢人を好きになれたら…賢人に好きになってもらえたら…幸せかもしれない… でも俺にはもう人を好きになる資格なんてないから。また俺のせいで誰かが傷つけられるのは嫌だ… 「更紗?どした?」 『試してみる?使い古しの体だけど』 「おまえ…何いってんだ?」 『宿賃。俺さセックス付けにされて誰かに抱かれないと眠れなくなっちゃったし。嫌なら他で誰かにお願いするけど?』 「…」 そう。佐知くんから解放されたけどあまり眠れなくなってた おそらく快楽で疲れ果てて泥のように眠らないと寝付けないんだ… 「お前…本気か?」 頷くと溜め息をはかれた 『やっぱやだよね?こんな汚れた俺なんか』 「汚れてねぇよ。バカなのか?取り敢えず風呂入ってこいよ。そのあと…な?」

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