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更紗の場合/35
「んっ…」
「気がついた?大丈夫?」
目開けると心配そうに俺を見つめる賢人がいた
コクりと頷くと安心したように笑う。
不覚にもドキリとしてしまう。
「水。飲める?」
再度頷くとグラスにミネラルウォーターを注ぎわざわざストローまで用意してくれた
そっと俺の背中を支え甲斐甲斐しく世話をしてくれる。
「平気?もう少し寝てろ」
ポンポンと頭を撫でると賢人は部屋から出ようと俺に背を向けた
無意識に賢人の手を掴んでしまう
あ…
「どした?俺ここに居てもいいの?」
頷き賢人を引き寄せる。バランスを崩した賢人が俺を押し倒す形になる
「あ。ごめん。すぐ退くから」
そういう賢人を必死に抱き締めた。今は…ここに居て…俺を抱き締めて…こんなにも一肌が恋しい…寂しい…一人は怖い…
「わかったから。少し離して?これじゃ更紗きついでしょ。俺の方が重いんだから」
本当に離れない?そういう気持ちを込め抱き締める
「大丈夫だよ。ね」
そっと離すとまた笑い掛けてくれて…俺の隣に横になり俺を引き寄せた
きゅっと抱き締めると抱き締め返してくれて背中を撫でてくれた。
「んっ…」
「ん?そういう声は出るの?」
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