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更紗の場合/47
次に目が覚めたら隣に賢人がいなくて焦る
怖くなって泣いていたら扉が空いた
また知らないところじゃないよね…
「更紗!ごめん!ご飯作ってた」
急いで側に来て抱き締めてくれる賢人の温もりに安堵した
「賢人…賢人…」
「更紗。大丈夫だよ。俺が側にいるよ」
たった一晩ですっかり賢人がいないとダメになってしまった。
もう俺は誰とも関わっちゃダメなのに…また不幸にしてしまうのに…
「更紗。また余計なことを考えてる?」
「賢人…俺…帰る」
「は?何言ってるの?」
「帰るの…」
「待って?なんで?俺なんかした?」
「違う…してない…」
「…あのさ…もしね…更紗の側にいることで俺が不幸になるって思ってるならそれは大間違いだよ?」
何も言ってないのに俺の胸のうちを見透かした賢人を見つめる
「あのね、結局不幸って更紗が勝手に思ってるだけでそれはその人にとっちゃ不幸なんて微塵も感じてないことだってある。…美芳さん…言ってたよ?一度も不幸だと思ったことないって。結果こうなったけど自分は何も後悔していないからって」
「美芳…」
美芳…どうして?そんな…俺はあなたのことを壊してしまったのに…
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