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更紗の場合/48

「更紗は多分不幸にしたって思ってる。でも違う。それは更紗の思い込みだって。更紗のためじゃなく自分のため動いたんだって。 更紗がいたからとても幸せだったって…確かに手は汚してしまった。でも更紗が無事だったからそれが自分にとってはとても大きな幸せだって…」 美芳…そんなこと思っていたの?… 「更紗。更紗はこれまで沢山のことあって参っちゃってるかもしんないけど更紗のせいで不幸になった人なんて一人もいないんだよ?ご家族だって、佐知くんだって。…智輝だってそう言ってた。更紗がいたから生きてこられたんだって。更紗がいなければおそらく自分はもっと壊れてしまっていたって…更紗のせいで不幸になったなんて…むしろ自分は更紗に感謝してるって」 「智輝…」 どうして?俺が間違ったこと言わなかったらもっと…みっちーがああなる前に早く… みっちーだけを愛することが出来たはずなのに…そうしたらみっちーは傷付かなかったかもしれないのに… 「ねぇ。俺だってそうだよ?更紗が笑ってくれるだけで心がぽかぽかするんだよ?更紗が名前を呼んでくれただけでとっても幸せだって思えたんだよ?更紗に触れること出来て…更紗にわがままいってもらえてすごく嬉しかったんだよ?だから…そんな顔しないで?ね?更紗…俺は更紗の側にいたい…な… …なんて…気持ち悪い?」 「俺は…生きていていいの?こんな疫病神…生きていていいの?」 賢人がコツンと額を合わせ目を見つめる 「俺は更紗にここにいて欲しい…生きていて欲しいよ?俺だけじゃない。みんなそう思ってる…更紗…ねぇ…そんな悲しいこと言わないで?俺たちを否定しないで?更紗を愛する人たちを否定しないで?」 「賢人…」 「更紗…俺はお前が好きだよ?生きていて欲しいよ? 何度でも言うよ?生きていて…お願い…更紗…苦しかったら…辛かったら俺が肩を貸すから…ねぇ?俺じゃだめ?俺じゃ頼りにならない?」 「賢人…」 涙が溢れて止まらなくて…それを賢人がそっと拭ってくれる。 「更紗。更紗はみんなに愛されているよ?だから…生きて?」 賢人に抱きつき泣いた。ひたすら泣いた…賢人の暖かい腕の中…ずっと…ずっと… 「沢山沢山…幸せになる。更紗は幸せになるんだ…絶対…俺が保証してあげる」 「け…と…」 「更紗…キスしていい?」 「うん…」 優しい賢人の唇…あぁ…こんなにも…暖かい…どうして?こんなに暖かいの?賢人…どうして…ねぇ…好きになっちゃうじゃん…

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