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更紗の場合/49
賢人side
起きたら柔らかい寝顔の更紗を見て安堵した。
二度寝してしまったからもうお昼になりそう。更紗が起きたらお腹が空いているかもしれない…
起こさないようにそっとベッドから抜け出しキッチンで簡単なご飯を作る。
作り終わって更紗を起こそうと寝室へ行くと更紗が泣いていた…
不安になったのかな?…急いで更紗の元へ向かい抱き締める
「更紗!ごめん!ご飯作ってた」
「賢人…賢人…」
抱き締めると更紗がすり寄ってきた…すごくすごく不謹慎だけど…可愛い…
「更紗。大丈夫だよ。俺が側にいるよ」
更紗はすんすんと鼻を啜りながら固まる…これは…また…
「更紗。また余計なことを考えてる?」
「賢人…俺…帰る」
やっぱり…何か余計なことを考えてるんだ…だめ…帰さない…
「は?何言ってるの?」
「帰るの…」
どうして?やっぱり俺じゃだめ?
「待って?なんで?俺なんかした?」
「違う…してない…」
だったら…多分更紗は…
「…あのさ…もしね…更紗の側にいることで俺が不幸になるって思ってるならそれは大間違いだよ?」
きっとそう思ってる。俺は不幸なんて思わない…何故ならこんなにも側にいてくれることが幸せだから…
「あのね、結局不幸って更紗が勝手に思ってるだけでそれはその人にとっちゃ不幸なんて微塵も感じてないことだってある。…美芳さん…言ってたよ?一度も不幸だと思ったことないって。結果こうなったけど自分は何も後悔していないからって」
「美芳…」
あぁ…自分で美芳さんの話をしたのに…更紗の表情を見ることが…不安になる…やっぱり…まだ美芳さんがいい?
ねぇ更紗…美芳さんはね…更紗と出会えてよかったって…言ってた…だから…不幸になったなんて思わないで…
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