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更紗の場合/51
「賢人ぉ…」
「ん。大丈夫だよ。ご飯食べられる?」
「食べたい…」
「良かった。おいで」
「賢人…」
「なぁに?」
「手…繋いでいい?」
賢人の温もりが離れていくのは嫌だった。やっぱり嫌かな?…
「いいよ。はい」
俺より大きな手が俺の手を包み込む。きゅっと握ると握り返してくれた
「ふふっ…可愛いね。更紗」
チュッと額にキスをする賢人に照れる
「ん?照れてる?」
「照れてない…」
「そう?」
短い会話をしてリビングの椅子へ腰を掛けさせられる
テーブルの上にはオムレツとサラダとスープとパン。
「更紗オムレツとかオムライスとか好きなんでしょ?あいつが…創が言ってたから…昨日と同じはどうかなとは思ったんだけど…店のより旨くはないだろうし…」
賢人のオムレツは見た目はまぁやっぱり店長の作ったものよりは劣ってる。でもとっても美味しそうだった。
「食べる」
「うん…えっと…更紗…」
「ん?」
「手…離してくれないと食べられないよ?」
「あ…ごめん」
すっかり忘れてた…
「…ん~…んじゃ、俺の膝に乗る?」
いたずらに笑う賢人に体温があがる…もう…俺ばっかりこんな…よーし…
「うん!」
「うん…は?えっ!?」
「ほら!早く座ってよ。乗れないじゃん」
「ええっ!?」
「だめ?」
必殺…上目遣い…賢人は優しいから…
「うっ…わ…わかった…」
賢人が座ったのを確認して向い合わせで賢人の膝に乗った。緩く腰を動かしてみる
「んっ…賢人ぉ」
ふふっ…困ってる…困ってる…この顔可愛いよなぁ…
「更紗…」
ってか…えっろい顔…何?…この色気駄々漏れな人…いや…賢人なんだけど…賢人ってこんなに綺麗だったっけ?
「更紗…それじゃあ食べらんないでしょ?ほーら」
くるりと賢人に反転させられる体。もう少し顔見ていたかったな…
「ほら…あーん」
「え?ちょっ…」
あーんって…やめて…照れる…
「食べてくれないの?」
うわぁ…何これ…今度は可愛いかよぉ…どうしよお…そんなの…ずるい…
「食べる…食べるから…」
「はい。あーん」
おとなしく口を開き食べる。ふわふわでとろとろのオムレツ。てか見た目よりぜんっぜん美味しい!!
「どう?」
「美味しい」
「良かった。じゃ次はぁ…」
「賢人!賢人!」
「ん?」
「大丈夫…自分で食べられる…下ろして?」
「自分で座ったじゃん!」
「でも…下ろして?…恥ずかしい…」
「…もう…可愛い…仕方ないなぁ。よいしょ」
下ろされてホッと息を吐いた。
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