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律の場合/6
ミッチーは目を閉じていて身動ぎすらしなかった。
その姿に京は目を伏せた
苦しそうに笑う智輝の顔が見ていられなくて早々に病室をあとにした。
誰がこんなこと…調べていくと犯人はかつて友だった亜咲斗…
衝撃半分…何となくそうじゃないかとどこかで感じていた…
亜咲斗は誰よりも努力家だがその姿は微塵も感じさせない完璧なやつだった…
家庭環境はとても複雑でそれ故しなければならなかったこと…したくてもできなかったこと…があって…本当の亜咲斗はどこかへ影を潜め…マリオネットのように生き…そして…壊れて…消えた…
亜咲斗のことを思うと堪らなくて…ミッチーが憎いと…そう思う自分に怯えた…
亜咲斗の遺骨は琉輝さんの所有している土地のある一角に納められていた
亜咲斗に会いに行くと小さいながらもちゃんと墓石も立ててあった…誰かが花を添えていた…
あぁ…こんな人に早く亜咲斗が出会えていたら…こんな結果にはならなかったのかもしれない
知らず知らずのうち涙が溢れて止まらなくて亜咲斗の前へ踞る
「亜咲斗…ごめんね…助けてあげられなくて…ごめんね…」
亜咲斗に届かないと知りながらもただひたすらに頭を垂れる
「…あなたは…」
急に声がかかりそっと振り返るとそこには琉輝さんの秘書としていつも側にいた佐藤さんが立っていた
大柄な体を屈め僕と視線を合わせる
「律さん…」
「佐藤さん…このお花は…あなたが?」
「えぇ…私は何もしてあげられなかった…だから…せめてもの償いにと…」
佐藤さんの目は涙に濡れていた
「私が…もっと…早くに何とかしていれば…」
この人はきっと…
「亜咲斗に…惚れてた?」
「…えぇ…でも…私は…助けてあげられなかった…私はこの見た目のせいで…誰にも人として…見てもらえたことはなく…それを…人として見てくれたのが…亜咲斗さんでした」
佐藤さんは体が大きく顔には幼い頃血の繋がった両親に躾として大火傷を追わされたせいで顔の半分は色が違うしだいぶ歪んでいる…
回りからはフランケンと呼ばれ…いつも化け物扱いをされひどい仕打ちを受けてきたそうだ
「こんな私を拾ってくれ雇って頂けたのが琉輝様で…私にとってはかけがえのない存在であり絶対的な方でした…あの人に逆らうことは出来なくて…悪いことと知りながらもあの人の言う通りに動いてしまった…それは…そう…化け物…そのものでした…そんなとき出会ったのが亜咲斗さんでした」
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