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律の場合/8
佐藤side
「こんにちは。佐藤さん。」
「亜咲斗さん…」
「あーあ。やんなっちゃうよねぇ…結局さ俺なんて人として扱われることないんだよね。ここに琉輝さんも来てくれないんでしょ?…まぁ…いっか…始めていいよ。佐藤さん。俺は何でも大丈夫」
自分を蔑む亜咲斗さんが自分と被ってしまって
「佐藤さん?泣いてるの?」
「すいません…」
「俺がかわいそうになった?」
「いえ」
「…ありがと。佐藤さん…」
華奢な体で私に抱きつき背中を撫でてくれる亜咲斗さん。
この人は本当は心の優しい人…
「亜咲斗さん。貴方は…」
言葉を発しようとする私の唇を自分のそれで塞ぐ亜咲斗さん
「大丈夫…慣れてるから……」
「私は…」
「始めよう…俺これ終わったらすぐに店にでないとならないみたいだから…一日かけて俺の体を調教するんでしょ?」
潔く全て服を脱ぎ裸体を晒す亜咲斗さん。
おそらく今までいた屋敷で散々甚振られたのだろう
綺麗な肌にいくつもの痣と鬱血痕があって痛々しい…
「始めないと佐藤さんが大変な目に遭うよ」
自分の運命を受け入れる亜咲斗さん…その姿があまりにも痛々しくてでも綺麗で…
調教を始めると恐ろしいくらいに艶っぽくて…夢中で亜咲斗さんの体を貪った
「佐藤さっ…あっ…」
「亜咲斗さん…綺麗です…」
「あっ…あっ…あぁぁぁぁ…!」
「亜咲斗さん…あの…調教完了です。」
「んっ…はぁ…はぁ…佐藤…さ…ん…まだ足りないよ…抱いて」
甘い囁きに抗えず体を貪る。調教のことなど忘れて堪能した
「佐藤さん…貴方と出来て良かった…久しぶりに…心から気持ちいいと思えた…頑張れそうだよ。貴方に抱かれた今日は特別な日だね。人として扱ってくれてありがとう。最後にこんな気持ちを教えてくれてありがとう。貴方にもっと早く出会いたかった…そうしたら…きっと…俺は貴方を愛していたよ…きっとね。貴方は怪物なんかじゃない。ちゃんと意思のある人だよ。回りはバカだね。それに気付かなかったなんて…佐藤さんを苦しめた人全てがこの世から消えてなくなればいいのに…」
その言葉を残し彼は名を捨てた…
この店のニンギョウとして生きる…そう決意し闇の中へ…
もうここに亜咲斗さんはいない…
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