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律の場合/13

「律。」 「ん?」 「結婚しよっか?」 「勝手に服用してたの…怒らない?」 「怒らない。俺も律との子供欲しかったから。一緒に育てよ?」 「うん」 「律…好きだよ。大好き…一生側にいてね」 「うん!」 「どっち?」 「まだわかんないよ」 「そうかぁ!早く会いたいなぁ。律仕事大変だけどむりしちゃだめだよ!」 「うん」 翌週までには両親の了承を得て婚姻届を提出した。 一番幸せだったかもしれない… 無理せずゆっくり…ゆっくり…お腹の子供の成長を見守った…でもお腹が大きくなるにつれ不安も少しずつ大きくなった。 この子を産んだら京を独り占め出来なくなる… それはやだな… そんなことを抱えながらもうすぐ安定期に入る頃… 「やめてー!!いや!!」 俺は…暴漢に襲われた…多勢に無勢…為す術もなくて… 身体中殴られ…蹴られ…傷だらけにされて…それだけじゃ飽き足らず…汚い男たちの白濁が注ぎ込まれて…小さな小さな命は…汚された… ライバル会社の準備した男たちだったと知るのは少し後… 俺が意識を失っている間に…小さな命は旅立っていった… 京は俺より悲しみに暮れて… 「律…ごめんね…守れなくてごめんね…」 傷だらけの俺に散々謝ってきた 「ごめんなさい…」 少しでも不安に思っちゃってごめんなさい…俺の赤ちゃん…わかったんだよね…俺が君をまだ愛せないこと…だから… 「ごめんなさい」 京をこんなに悲しませてごめんなさい…俺より楽しみにしてくれていたのに…守れなくて…ごめんなさい…

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