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律の場合/14

ずっとここにいた命がいない… 悲しくて苦しくて…でも…安堵している自分… まだ京を独り占めできる… 「律体大丈夫?」 「ん…ごめんね…こんなになって…汚れてしまって…守れなくて…」 「律は悪くないんだよ。大丈夫。大丈夫…」 京が優しく撫でてくれる…急に感情が込み上げてきた… 「あぁぁぁぁ。ごめんなさい。俺のせいだ…俺が…ごめんなさい…ごめんなさい…俺ね…俺…」 自分の中のどす黒い塊を吐き出すように赤ちゃんへの思いを京にぶつけていた… 自分で望んで妊娠したのに京をとられたくないって妊娠なんてしなければ良かったのにって…ちっとも嬉しくないっ…居なくなってホッとしたって… もうだめだよね。こんな奴なんて京は嫌になったよね…ごめんなさい 「律!律。違うよ。律はちゃんと愛してたよ赤ちゃんのこと。あのね。手術室入る前…ううん…運ばれている間…ううん…あいつらに殴られて蹴られている間…ずっとずっと…お腹を守ってた。…律の怪我は手の甲と腕。それとすねと背中が一番ひどかった。体を丸めて必死でお腹を守ったんだよ。それってどうしても赤ちゃんを守りたかったからだよ。救急車に乗せられたときの同乗者も赤ちゃんのことしか言ってなかったって言ってた。担架に乗せられて運ばれてたときも赤ちゃんを助けてって言ってた…手術が始まって薬で眠りにつくまで赤ちゃんを助けてって…こうして目覚める前もうわ言で赤ちゃんのこと言ってたよ…ちゃんと愛してた…律は…ちゃんとお母さんだよ。ごめんね。守れなくてごめんね」 「俺…のせい…」 「違う。こうした犯人のせい。律は悪くない」 「俺は…」 「赤ちゃんはちゃんとわかってくれてるはずだよ。律が守ろうとしてくれていたこと…きっと、また俺たちのところに戻ってきてくれる…俺はそう思っているよ」 大声で泣きわめく俺を京はずっと抱き締めてくれていた ごめんね…ごめんね…泣きつかれて眠りに落ちた…

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