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空雅の場合/8
八尋side
「いらっしゃい。空雅さん」
「こんばんはぁ。飛弦さん」
「お久しぶりですね。お仕事忙しい?」
「お陰さまでね。一月ぶりのお休みだよぉ」
「ねぇ。君。雪…ついてるよ」
「数分前から降りだしたんだよね。積もっちゃってた?」
可愛らしい彼の肩とニット帽にうっすら積もっていた雪を払う。いきなり触れたのに彼はされるがままになってた。
すごく可愛い子…でも…どこか抱えているような…そんな子…
「お兄さん。ありがと。隣いい?」
「どうぞぉ」
そういうと体を密着させる彼に久しぶりにときめいた
それからは何でもない話を暫く続けてた。
彼は聞き上手で気付けばいろんなことを話してた。
これまで誰にも言えなかったたくさんのことを
「ふーん。八尋さんいろいろあったんだねぇ。僕もね、なかなかこの人って人に出会えていないの。でもね、そんな人は一生要らない。ヤりたいときにヤれる。それだけでいいの。特定の人とか面倒。一人だけの檻に閉じ込められたくないの」
彼のその言葉で俺の芽生えた小さな芽はすぐに摘まれた。
彼を自分だけの物にしたいという感情を悟らせてはならない。
結局都合のいいセフレという道しか選択はなかった。
その後、彼と共にホテルへ行き一晩中彼を愛した。とても幸せな時間…これまでの相手なんて比にならないほどの最高な時間だった
俺と彼は彼が呼んでくれるときだけの関係。俺からの連絡はご法度…
「八尋さぁん…良かったよぉ…また連絡するね」
「うん。待ってるね」
今日で終わりかもしれない。そう思うと心が痛かったけど決めるのは彼だから…
そうして次に連絡が来たときは飛び上がるほど嬉しかった
そうして2年…まだ俺を求めてくれてる…
こんな関係いつまで続けられるんだろう…彼に飽きられないように…俺には何ができる?
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