「いらっしゃい。八尋さんご飯食べた？」 「ん？まだだよ。俺休みの日って朝食べないの」 「そうなの？僕作りすぎちゃったから一緒にって…思ったけど…な…」 「空ちゃんの手料理は別！！食べる！嬉しい！」 朝を一緒に食べるなんて初めてのこと。夜は何度か饗したことはあるんだけど… 「うわぁ～！美味しそう！！いただきまぁす！」 今日の朝は和食。ごく一般的なメニュー。それなのにニコニコしながら八尋さんはあっという間に完食してくれた。 正直嬉しい…他の人にもふるまったことあるけど八尋さんは特に喜んでくれるから作りがいがある 「おかわり！！」 「あははっ。はぁい。」 「美味しいねぇ！」 子供みたいに口一杯に頬張る八尋さんは可愛い。智輝とは全然違う。智輝はそんな食べ方はしないから。 「そんな詰め込まなくてもとらないよ」 「ごめん！つい夢中で食べちゃって」 「いいよ。そんなに食べてくれるなんて嬉しい」 智輝との違いを感じられる数少ない場所の一つ… 「ごちそうさまでした。片付け手伝うね」 並んで一緒に片付けをして一息つく 「はぁ…いつ食べても空ちゃんのご飯は美味しい！」 「いつももっといいの食べてるでしょ」 八尋さんは大きな会社のお偉いさん。その分お付き合いとかも多くて会食なんてざらにある。 僕の料理なんて物足りないだろうに 「空ちゃんの優しい味がするの。食べたらすごーく幸せな気持ちになるの。俺にとってはどんなに有名な高級店で食べるよりもずっとずーっと価値があるし美味しいの。」 「そんなこと言われたらテレる」 「テレる空ちゃんも可愛い」 「エッチ…しよ？」 そうしてソファーで体を重ねた。 「眠れそう？」 「ん…ありがと…八尋さん。」 「綺麗にしてから寝ようね」 慣れたように僕を風呂にいれ寝室に運んでくれる。 「空ちゃん眠るまで側にいていい？」 「ん…いて…」 「うん…」 そういうと僕を抱き締めてくれた。智輝より大きな体。少し高い体温。この人のことを好きになれたら幸せなのかもしれない… でも…考えても仕方ない…結局考えることを放棄して意識を手放した 「空ちゃん…大好き…」