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空雅の場合/34

自分からそんなこと言うのは仕事ではあまりない。 何となく仕事抜きでも萌葱とは関係持っても良いかもしれないとずっと感じていた。 でも僕の身請けをしてくれない限りプライベートで会うことは禁じられている。 だからそれはできない 萌葱の中での緋色くんの存在大きいことはわかってるから無理強いはできないけれど抱き合うことで気持ちが軽くなることだってあると思う。 「僕に初めてを頂戴」 「…っ…」 「だめ?」 「俺…やり方あんまりわかんない」 「僕が教えてあげる。抵抗があるのなら無理はしなくてもいいんだよ」 「…そうやって…いつも誘ってるの?」 「そうだね。プライベートではね。でもここではほとんど初めてだよ。信じてもらえるかわかんないけど」 「そっか」 「抱かれるんじゃなくて抱くことで少しでも萌葱が嫌なこと忘れられたらって…僕は思ってるの」 そんなのは建前でただ萌葱の肌に触れてみたかった。 萌葱がどんな風に触るのか感じてみたかった。 萌葱がどんな風に乱れるのか見てみたかった。 僕に欲情してくれるのか見たかった。 いつからかな?他のお客さんに抱かれていても萌葱ならってお客さんに萌葱を重ね萌葱を思うようになって… もしかすると僕は… 自分の中にあるこのもやもやとした気持ちをはっきりさせるにも手っ取り早いと…そう思った 「じゃあ…俺の初めてを貰って…緋色を…忘れさせて?」 「うん」 萌葱の触り方はとても優しくてきっと緋色くんはこんな風に触っていたんだなと何だか複雑な心境で とことん甘くて癒されて胸の中がぱーっと暖かくなるような…そんな日溜まりに抱かれている感じ… 緋色くん…君は本当に萌葱のこと大切だったんだね… なのに…どうして…萌葱を手放したの?…何があったの?

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