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空雅の場合/37
「良かったですね。じゃあ僕はもう連絡しません。その人に勘違いされて八尋さんがうまくいかなくなったら申し訳ないので」
「もう何年も片想いだって」
「え?知らなかったなぁ…何か申し訳ない」
「ねぇ。空ちゃん」
「相手が空ちゃんだって言ったら君はどうする?」
「は?」
「万が一だよ」
「うーん…答えられないかな。実は僕も好きな人がいるんです。まぁ叶うことない相手ですけどね」
「そう。頑張らないの?その人を」
「その人にはずっと思い続けている人がいるから」
「そうなの?」
「はい。」
八尋さんがうまくいくといいなと思いながら八尋さんの優しい笑顔を思い浮かべる。
「やっちゃん…まだ先は長いよ」
「え?何か言いました?」
「何でもないよぉ!んじゃあまたねぇ」
立ち去る後ろ姿を見送って歩みを進めた。
八尋さんに思われる人は幸せだろうな…僕も八尋さんみたいな人に思われたら…
少し相手が羨ましい。でも僕が今心を奪われているのは萌葱だから…
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