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空雅の場合/40
次に見たのは真っ白な天井。
「ここ…」
「よかったぁ。目ぇ覚めた?」
「八尋さん?」
「大丈夫?どこか痛いとこない?」
「ない…けど…何で…」
「うん。俺も今日はたまたま同じ電車に乗ってたの。普段は電車は使わないんだけどね。降りた駅で空ちゃんの後ろ姿見かけてお友だち?彼氏?と一緒にいたから声かけなかったんだけど…トイレの中に入ってってその前を通ったとき空ちゃんの声が聞こえて何かおかしかったからドア開けて入ったら…空ちゃんぐったりしてて…ビックリした…男の人何か不穏なこと呟いてたから取り敢えず引き剥がしてつれてきちゃったけど…望んでしてたことだったならごめん」
「…ううん…ありがとう…あの人はねお客さんだった人なの…」
ひさしぶりに見た八尋さんはどこか窶れていてでもやっぱり優しく笑ってた
「お仕事の?そんな人がなんで?」
「僕への執着が酷くて…店でも…」
「そっか…怖かったね…ごめんね。もっと早めに声かけたらよかったね…抱き締めても良い?」
こくりと頷くと優しく抱き締めてくれた
「空ちゃんがぐったりしてて焦ったよ…良かった…良かった…」
「八尋さん?」
声が震えてた…声だけじゃない…体も小刻みに震えていて心配してくれたんだと思って申し訳なくなった…
「心配させてごめんね。助けてくれてありがとう…」
「うん…うん…」
苦しそうな八尋さんの声に申し訳なくなる
「でも空ちゃん、家はあの路線じゃないでしょ?どこか行くところじゃなかったの?」
「うん。セフレんとこ。」
「…っ…あ…そっか…心配してるんじゃない?連絡…しなくていいの?」
「心配はしてないと思うけど…連絡はしてみる」
「ほら。そこに空ちゃんの持ち物あるから…じゃあ俺は仕事に戻るね。無理しちゃだめだよ」
「うん。じゃあね。ありがとう」
八尋さんの哀しそうな表情に胸が締め付けられる…心配かけたくせにこの態度は…なかったかな…
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