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空雅の場合/51

紫水が上がってきた。 タオル一枚腰に巻いただけの状態。 明るいところで何度もみたことのある姿のはずだけど見惚れるくらいきれいな体をしてる 「空雅行っておいで」 「うん」 湯船に浸かる派の僕のためなのか湯を張り直してあった。 アロマの香りがする。好きな香りだ。 風呂にはいるからと包帯をとった。浴室に設置された大きな鏡に映る自分の首元にはやはり手の後は残っててこれを見ると苦しくなった気がした… 「大丈夫…気のせい」 少し鼓動が早い気がする… 大丈夫…大丈夫…言い聞かせながら髪と体を洗う。 「空雅。大丈夫?」 「…」 「空雅?ごめん。あけるね」 「…」 「空雅!!おい!!大丈夫か?」 「…いやだ!!」 「空雅!!おい!」 「いやっ…いやだ…いやぁ!」 「空雅!!大丈夫。大丈夫だから」 「やだ…殺さないで…やだ」 「空雅!!俺を見ろよ」 熱い唇が重なる… 「空雅…」 「紫水…ごめん…僕…」 「大丈夫だよ。お水持ってくる。着替えられそう?」 「ん…」 「飲める?」 「ありがと」 紫水がすぐに戻ってきてくれて水を飲ませてくれた 「空雅。なぁ。」 「ん?」 「しばらくここ住まない?心配」 「えぇっ!!紫水が心配とか…明日は嵐?」 「酷くなぁい?それ」 「いやだって…あの性欲魔神の紫水が?えぇ?」 「それは否定しねぇけど。お前が落ち着くまでここにいろよ。俺はずっと家にいられるし」 「でも…僕仕事が…」 「それ休みとれない?このままだと仕事に支障来すだろ?」 触られることにおそらく拒否反応が出るかもしれない…。頭の片隅に居座っていたのを気が付かない振りをしていたけれど… 「…オーナーに連絡してみる」

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