「オーナー…すいません」 『おう。どうした？みやび』 「あの…出禁になった人…覚えてます？」 『あぁ。もしかして…』 「今日…会いに来て…また…あの…」 『お前今どこにいんの？』 「友人の家に」 『わかった。しばらく休め。連絡は毎日しろ。わかったな？』 「はい。すいません…お客さん大丈夫？」 『あぁ。どうにかする』 「ありがとう…」 『なぁ。みやび』 「はい」 『お前に身請けの話来てる。相手は木築さん』 「え？」 『さっき連絡があった。』 「なんで…萌葱は…恋人が…」 『…ここから出したかったようだ。お前と友人になりたいそうだ。お前が休みだから保留にしてる』 「そうなんですね」 『いい機会かもしれない…考えてみろ』 「…わかりました」 『じゃあな』 萌葱が？なんで…緋色さんどうするの？あんなに好きなのに…そんなことされたら期待してしまう…友人なんて辛すぎるよ… 「空雅？どした？」 「…あ…身請けの話がきてるみたい」 「え？それってどうなるの？」 「お客さんの希望に沿って生きていくことになる。一生働かなくても食べていける金額を払ってもらうんだから…相手がどうするか…自由にしてくれるのか囲われるのかその人によって違うけど。たぶんこの相手は自由にしてくれるはず…」 「よかったね。よかったのか？」 「…僕…その人のことが好きなんだ」 「え？」 「だから…自由になってって…手を離されたら？僕はこの人の心が欲しくなる…」 「お前のこと好きだから身請けするんじゃないの？」 「…違う…この人は違う…長年相思相愛の相手がいるんだ…今は少し擦れ違ってて離れてしまってるけれど…その人が戻ってきたら僕はどうすればいいの？」 「取り敢えず身請けされたら？もし自由になれたなら俺のとこに来ればいいじゃん。」 「え？」 「本当はね俺が身請けできればって色々動いてたんだけど…なかなかうまいこといかなくて…だから他人のお金で身請けされるのはやっぱり嬉しくはないけど…お前が俺のところに来てくれたら嬉しい」 思ってもいなかったことに混乱する。萌葱が僕をどうして身請けしようと思ったのか？ あの紫水がどうしてこんなに優しい顔で僕を見つめているのか… 「えー…と…」 「あー…急に言われても困るか。んー…お前の飯がうまいから毎日食べたいなぁって思ったの。そんで体の相性もいいじゃん？会社がさぁ思いの外でかくなったからなかなか遊べなくなったんだよね。だからお前がいれば助かるなぁって」 あぁ。単純に都合がいいってことか。まさか僕のこと好きなのかな？って思ったけど…よかった。勘違いで もし好きだって言われちゃったら困るから。何が困る？そんなのわかんないけど 「僕めちゃめちゃ落ち込んでやってくるよ？かなり厄介なはず。それに男関係は変わらないよ。それでも待つの？」 「まぁ。その身請けの相手がお前を囲いたいとかその長年好きな人よりお前を選んだって言うなら俺はお前の幸せ願うけどね。後はお前に別に好きな人が現れてお前を連れ去ったなら引き留めはしねぇよ。どうよ？一先ず保険として頷いときなよ」 「…わかった。身請けの話受ける」 「どうなったかはまた教えてね」 「うん」 「取り敢えずこっちおいで」 側に行くと抱きすくめられた 「どしたの？」 「ん？お前また泣きそうだったから。そんな深く考えんなって。な？」 「ん…ありがとう。紫水」