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空雅の場合/63

「今日お店行ってくるね。身請けの話してくる」 「おぅ。送迎しようか?」 「大丈夫。ありがと」 「何かあればすぐに連絡しなよ」 「うん。…ねぇ。紫水。」 「ん?」 「ん~なんでもなぁい?」 まさか…ね?紫水に限ってそれはない…か… あまりの変化にもしかしたら紫水は僕のこと好きなんじゃないかと…そう考えたけど…あの紫水に限ってないはず。 昨日の今日だから僕は不安定になってるんだろう。そう思い少しの違和感に気がつかない振りをして話を終える 「気を付けてね」 そういい玄関までやって来て抱き締めキスをする紫水の綺麗な顔を見て背を向けた パタンとドアが締まる。 「気付かれた?…俺の気持ち…まだ…気が付かないで…やっちゃんさんと…ちゃんと話すから…」 ドアに背を預けそう呟く紫水の苦しそうな声は勿論僕には届かなかった。 僕の中に萌葱への期待と不安が渦巻いていた 「お疲れ様です。オーナー」 「お疲れ。まぁ座れ」 「はい。失礼します」 「早速本題はいるぞ」 「はい。」 「木築さんはいつでも準備ができている。後はお前がどうするか…だな…」 真っ直ぐ僕の瞳を見詰めてオーナーが話してくれる 「…お受けします…」 「わかった。ここを出ても何かあれば頼ってこい。いつでも待ってるから。何もない方がいいがな」 「はい」 ここがなくなった先の僕がどうなるのかなんて全く想像は付かない。 もしも萌葱に自由にしていいと言われたら?僕はどうなるんだろう? 最悪紫水のところに?それともこれまで同様多くの人と体を重ねるの?

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