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空雅の場合/65

うれしい言葉のはずなのに…その裏に見え隠れする本当に愛している人の姿… きっと…離れていってしまった最愛の人の代わりが見つからなくてたまたま出会った僕をそう思っていると言い聞かせることで萌葱は自分を誤魔化してる でも…それでもいいと思えた。好きな人が僕を求めてくれるから 萌葱との時間がゆっくりと過ぎていく。たった一度の行為だったはずなのに萌葱は僕のいいところをその一度で理解してくれてて僕から教えることは何もなかった。 ただただ気持ち良くて幸せで… 「空雅…好きだよ…」 優しく囁いてくれる声に震えて何度も絶頂を迎えていた。 萌葱が収まるまでひたすら付き合って心地好い気だるさに身を委ね瞳を閉じた あぁ…幸せだ…いつか萌葱が僕に飽きるまではこうして…一緒に… 「空雅…ずっと…側にいてね…」 そんなこと言われなくたって僕はもう君の所有物だよ…君が離さない限りは離れない… もう言葉が出なくてそのまま意識を手放した 次に目が覚めたときは外はすっかり闇に包まれていた 「…萌葱…」 重たい体を起こしてリビングへ向かう 扉を開けるといい臭い 「ん?あ!空雅。おはよ。ごめんね…体平気?」 「大丈夫だよ。これ萌葱が?」 「ん…形は…悪いけど…味は多分大丈夫かと…」 「ふふ…意外だよね。何でも出来るのに料理は…ふふっ」 「なかなかうまくなんない…また教えて?」 「いいよぉ。お腹すいた…食べよ!」 「ん。」 「「いただきます!!」」 二人で一緒に手を合わせ食事を始める。味は少しだけ焦げた部分もあるけど美味しかった 「美味しい!」 「良かった…」 「この分だとあっという間に僕よりうまくなるね」 「ええ?それはないっしょ?」 「ううん。なるよ。仕事は?」 「明日早朝から。マネージャー迎えに来る」 「この場所に?」 「ん。俺ここに越してくる。前の家ちょっといろいろあって…ここの方がセキュリティーしっかりしてるし」 「そっか。僕はどうしたらいい?」 「出来ればここに来て欲しいけど…」 「…」 「取り敢えず鍵。持ってて?いつでも来ていいから。仕事の時間とかは連絡するね。俺がいてもいなくても自由に使ってくれると嬉しいけどな」 「ありがとう」 萌葱から受け取った鍵を手のひらで包んで頬笑む 「可愛い…大好きだよ」 「うん。僕も大好きだよ」 翌朝萌葱を見送った後紫水に連絡をいれた

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