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空雅の場合/66

「紫水。今大丈夫?」 『うん』 「萌葱がね一緒に居たいって言ってくれた」 『そうなんだ』 「好きだって言われた」 『…っ…そ…っか…良かったな!幸せになれよ!まぁ。いつでも相手出来るから萌葱さんで満足出来なかった時は教えて。んじゃ。またな』 「ありがとう」 何だか声が震えていたように聞こえたけれど…誰かと一緒にいたのかな?まさか電話の向こうで紫水が涙ぐんでいるなんて思いもしないでそのことはすぐに忘れていた さて…これからどうしよう?ずっとここにいてもいいけど…まぁ。取り敢えず贅沢な暮らししなきゃ向こうも残しつつ生活できるし… もしも萌葱が本当に想う人のところに戻ったときあの家がないのは困るからそのままあそこは残す。 部屋を掃除して一旦帰宅することにした。昨日貰った萌葱の連絡先に連絡して部屋を出た。その瞬間けたたましく着信が響いた驚いて急いで出ると相手は焦った声のもえぎだった 『もしもし!空雅』 「ん?どした?萌葱」 『空雅!ねぇ。俺今日夕方には帰れるんだ…だから…家に居て欲しい』 「そのつもりだったよ。自宅から荷物取ってきたらすぐ戻る。じゃあ後でね。仕事頑張って」 焦ったような萌葱の声に笑みがこぼれた。こんなに僕が離れるのを怖がっている。一瞬の時なのだろうけれど今はこのまま…

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