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空雅の場合/67

自宅に戻り必要な荷物を持つ。再度出かけるために家を出た 下に降りると見慣れた姿が目に入った 「八尋さん?」 「空ちゃん。体平気?あの後聞けてなかったから…」 「大丈夫だよ。わざわざ来てくれたの?ありがとう。あ。そうだ。あのね八尋さん」 「ん?」 「僕ね身請けされたの。だからこれからはもう会えないと思う。これまでありがとう」 「そうなんだ…幸せになれそう?酷いことされない?」 「うん。大丈夫。すごくいい人なんだ。実は…僕…その人のこと好きになっちゃって…だから…すごく嬉しいの」 「あ…そうなんだ…」 「うん。八尋さんも大切な人が出来るといいね…え?…」 気付いたら八尋さんに抱きしめられてた… 「どうしたの?八尋さん」 らしくない彼の行動に戸惑う… 「空ちゃん…最後だから…このまま話し聞いて」 「うん」 嗅ぎなれた八尋さんの匂いが鼻腔を擽ぐる…この匂い…凄く安心できた匂いだった。抱きしめられるとぽかぽかあったかくなる感じ…凄く好きだった 「空ちゃん…俺ね…初めてあった時から…空ちゃんのことが好きだった…俺だけのものにしたかった…でもね…空ちゃんは本気になる人が出てくると切ってきたのを俺は間近で見てきた…だから…必死だった…この気持ちを隠すことに…知られると…終わってしまうって…わかってたから…」 全く気づかなかった…そんな風に思われてたなんて…だったら…僕は彼をとても傷付けてきたんだ… でも…僕はその気持ちには応えられない…僕の中は萌葱で一杯だから…ごめんね…八尋さん…あなたが幸せになりますように…昔の恋を乗り越えて…心から笑っていられますように…

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