255 / 321

空雅の場合/68

「空ちゃん…聞いてくれてありがとう…幸せになってね…え…あれ…空ちゃん?どうして…」 八尋さんが心配そうに僕の頬を撫でた 「何で…泣いてるの?」 「え…?あれ…?何でかな?…」 気づかなかった…自分が涙を流したことに 「ん〜…八尋さんはお兄さんみたいな人だったらかな?」 「ねぇ…空ちゃん…俺…自惚れていい?空ちゃんにとってそれなりに大きな存在だったって…」 「ん…八尋さん…ありがとう…幸せに…なってね…じゃあ…僕は行くね」 「空ちゃん!笑って?」 微笑んだつもりだけど…上手くできたかな? 次第に離れていく距離…あぁ…僕は…あんな人に思われて…幸せだったな… 「空ちゃん…大好きだよ…」 僕の姿が見えなくなるまで見送ってくれた八尋さんが僕と同じように涙を流していることなんて僕は知らなかった…

ともだちにシェアしよう!