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空雅の場合/70
八尋side
少し早めにしーくんとの待ち合わせ場所に着いてしまった
あの日から毎夜空ちゃんの夢を見てなかなか眠れなくて最近は寝不足…
でも仕事は前より増やし忙しくしてその間は空ちゃんのこと忘れられるようにしている
「あの…」
若い女の子が声をかけてきた。何かの勧誘?今日はやたらと声をかけられる
「はい」
「…っ…あの…お食事ご一緒しませんか?」
「あぁ。すいません。友人と待ち合わせ中でして…申し訳ないのですが…」
デート商法?最近見なくなったのにな…珍しい
「じゃ…じゃあ…連絡先の交換だけでも…」
「いえ。結構です」
答えると俯き立ち去る彼女…ふーっと息を吐いて再度待った
「やっちゃんさん」
それからしばらく時間が経って待ち人がやってきた。待ち合わせの15分前。
声がした方を見るといつか見たあのイケメンがやってきた。俺も背は高い方だけどそれより大きい。
昔は小柄な方だったからびっくりした。凄くツヤツヤだった黒い綺麗な髪は今はキラキラ光るような金色になっていた。
あまりの違いに思わず凝視してしまう
「…っ!!しーくん?」
「あはっ。驚いた?あの頃よりでかくなったし見た目こんなだしね」
ニカッと笑った顔はあの頃の面影を残してて相変わらず綺麗だった
「驚いた。でも…相変わらず美人さんだね」
素直に思ったことを伝えるとしーくんは苦笑して頭を掻いた
「あなたに言われてもねぇ…」
呆れたような声で俺を見つめる。何かおかしなこと言ったかな?ふーっとため息をついてしーくんが言葉を続ける
「お店予約してるんで行きましょうか」
しーくんに促されてついていく。彼はとっても目立ってて女の子が何人も振り返ってた。
だって王子様みたいに綺麗だからね。仕方ないか…
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