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空雅の場合/77

さなえside 萌葱に空雅君と会わせて欲しいとずっといい続けてた。でもなかなか会わせてくれなくて一年ほど時がたってしまった 萌葱が空雅君と一緒に住み始めた頃。実は空雅君がこれまで何をしていた人なのか申し訳ないが調べさせてもらった。でも嫌悪感などはない。 調べていくうちに製薬会社の代表である空雅君のご両親と茜は知人ということがわかった。空雅君を勘当したこともその理由も聞いていた。 それを今とても後悔していることも どうして苦しいときに支えてあげなかったんだろう…どうして傷つける言葉しかかけられなかったんだろう…そう苦しそうに話してくれた 今どこにいて何をしているのか空雅君の所在を調べてはみたけれど合わせる顔がなくてそっと遠くで見つめるだけだったらしい。 これだけ愛されていることを知って欲しい…そして…今萌葱と居て空雅君は幸せなのだろうか知りたかった だってきっと萌葱は緋色を忘れたくて空雅君を身請けしたのだと…そう確信していたから 萌葱の緋色に対する気持ちも緋色の萌葱に対する気持ちも実は気がついていたけれど流石にそれには動揺してしまって一先ず見守っていたら緋色が日本から旅立ちその後萌葱とは話すらしていないことも何となく察した。そのせいで多分まだ2人とも先に進めていない。 萌葱はとても寂しがり屋で実はとても独り善がりだ。誰にも甘えてこなかった分心を許した相手にはとことん甘えたがる。緋色とはタイプの違う空雅君を選んだのはきっと早く忘れなきゃと思ったから。 二人の表情をみて萌葱は何か吹っ切れたようだけど空雅くんの表情にはどこかまだ迷いがあるように見えた… 多分…萌葱が無意識のうちに…緋色のことを思い出していることを肌で感じているから不安なんだろう。もしくは…本当に好きな人がいるのに気付いてなくて萌葱を好きだと思い込んでいるのか… 「あ…ごめん…恋人の前で…」 少し意地悪な言い方をしてしまったな…泣きそうな顔してる…でもね。空雅君。出会ったからには君にも幸せになって欲しいんだよね。勝手でごめんね 「いえ…萌葱から聞いてますから大丈夫です」 「どう思う?」 「どれだけ緋色さんを好きだって思っていたか聞いていますから正直妬けちゃいます。でも好きになるってどうしようもない。萌葱が好きになった人です。とても素敵な方なんだなって。僕はきっと全然緋色さんとは違う。でも萌葱が僕を選んでくれた事実は変わりません。僕は僕なりに萌葱を大切にしたいと…そう思っています。萌葱が幸せになれることを祈っています」 「…そっか。流石…萌葱が選んだ子だね。でもね…空雅君…」 本当に…この子は人のことを誰よりも考えられる強い子だ…素直で…でも…弱い 「君にはまだ不安があるんじゃない?」

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