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空雅の場合/89
「八尋さん…散々酷いこと…なのにごめんなさい…僕…気付いてなかったの…八尋さんがずっと…特別だったこと…萌葱のことは確かに好きだったしこの一年幸せだった…でも…それは…」
最後まで言葉を紡がせてもらえずそのまま抱き締められた
「空ちゃん…空ちゃん…空ちゃん…」
「…八尋さん」
「俺…俺…っ…」
「もう…子供みたい…泣きすぎ…」
「だって…俺…」
「…八尋さんのそんなとこもとても愛しいんだ…」
「でも…しーくんは?」
「しーくん?」
「あ…紫水くん。」
「紫水?何で!?知り合い?」
「…充の幼馴染み…」
「そうだったの?…」
「しーくんと空ちゃんが一緒のとこ見たこと会って…俺といるより楽しそうだったから…だから…俺…てっきり…」
「紫水とは確かに一緒にいて楽しかったよ。でも友人としてのそれだった。」
「しーくんは…」
「え?」
「ううん…何でもない…」
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