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空雅の場合/90
暫く八尋さんと抱き合っていたら八尋さんの呼び出し音がなった
「八尋さん。電話鳴ってる」
「うん」
「いやいや…うんじゃなくて!出なよ!」
「うーん」
「こーら!ね?」
「…わかった…」
着信相手に目を見開き呟く。
「みや?『もしもーし!!やっちゃーん』」
電話口からみやさんの声が漏れる
あんなことあった後なのにいつもと変わらないみやさん。本当に…みやさんは…凄い…
『ねぇねぇ!!空ちゃんとは仲直り?したのぉ?変わって変わって!』
「え?わかったぁ」
突然渡されたけど…
「くーちゃーん!!!」
「はい」
『やっちゃんのことよろしくね!って…くうちゃんの気持ち知らないのにごめんね!どうなのぉ?』
「ふふ…今…告白したとこでした」
『やったぁ!!ちょーっとぉ!!君くん!!君くん!!空ちゃんが!あの空ちゃんがぁ!!『泣くなよ…みや』』
誰かと一緒にいるんだ…
「えと…みやさん?」
『ごめんね。空雅くんだよね?俺君矢。みやが泣いて喋れそうもないから勝手に代わった。ごめん。八尋のこと…ありがとう。八尋はねこれまで沢山我慢してきたんだ。だから…空雅くんに支えてもらえたら嬉しい。空雅くんじゃないと出来ないはずだから…八尋のこと…お願いします』
電話口からでもわかる優しい心地いい感じの人…みやさんの恋人さん?かな?
自分の恋人が傷つけられたのにこうやって言えることがやっぱり凄いと思う。八尋さんはこんなに優しい人たちとずっと過ごしてきたんだね…だからこんなにも優しくて…でも脆くて…僕が支えられるのかは正直自信はないけれどこの人を。他でもない八尋さんを大切にしていきたいと…そう思った。
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