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空雅の場合/その後

それから一年がたった。 あの日から向き合っていなかった萌葱と久しぶりに会うことになった。 萌葱を安心させたくて八尋さんと一緒に待ち合わせ場所へ向かった。 八尋さんとお付き合いすることを電話で話した日、萌葱が緋色さんの元へ行くことも聞いていた。だからおそらくこれが会うのは最後になるのかもしれない。萌葱には伝えたいことがある。顔をみてちゃんと話したのは別れた日以来なかったから実は少し緊張してる 待ち合わせ場所についたとき既に萌葱は待っていた 「久しぶり!!萌葱」 あのときより顔色もよく活き活きとした萌葱の姿に安堵する 「お久しぶりです。清澄さん」 仕事を一緒にしたことのある八尋さんのことも知ってるので簡単な挨拶を交わす2人 「元気でしたか?木築さん」 「はい。」 「萌葱!最近頑張ってるね!前よりもっとカッコよくなった!」 「ふふ…ありがとう。あのときは…本当にごめん」 「ううん!いいの。僕もごめん。あんな言い方して…あのね。…あ…八尋さん…ごめん!少し2人で話してきても?」 「うん。構わないよ」 「ありがとう」 背伸びして八尋さんの頬に唇を寄せる。僕はもう八尋さんだけなんだよ…その思いを込めて。 実はここに来る前八尋さんは不安がったのだ。また萌葱に心を奪われてしまうんじゃないかって。 八尋さん以外の人といることに不安を覚え始めた八尋さん。そうなったのはつい最近だった。

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