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深雪の場合/11
由斗side
「ゆぅ…」
「ん?」
「僕も三徳さんの所にいきたい…」
「深雪…」
「どうして僕はここにいなくちゃならないの?あいつは付いていったのに。三徳さんが望んだの?僕よりあいつを選んだの?」
「ちがう。俺が三徳さんなら生きて欲しいと思っていると確信してるからだよ。三徳さんが深雪を…他の誰でもないお前を愛しているからここにいてもらいたい」
「…っ…ゆう…っく…何で…何で三徳さんだったの?ぼくが…ぼくが…僕と出会ってしまったから…きっとそうだ…僕は…周りを不幸にする疫病神なんだ…だから…だから」
堪らなかった…もう…無理だった…深雪を抱き締めキスをする
「ゆぅ?」
「深雪。抱かせて?」
「いいよ。僕なんてどうなったっていいから」
「…俺がお前を愛しているから抱きたいんだ。」
「ゆうは優しいね。昔からそうだね。いいよ。そんな戯れ言囁かなくたって…」
弱っていく深雪を放っておけない。それが一緒に暮らし始めた当初の俺の本音…でもいつしかそれは形を変えた。
未だに三徳さんを思う深雪の姿に胸が締め付けられて一緒に暮らし始めて随分とたったのに俺を映さないその瞳に俺を映して欲しいと…もういない人ではなく今こうして一番近くにいる俺をみて欲しいと…
そう…俺は弱っている深雪の姿に惚れてしまったんだ…深雪はどんな境遇でもとても明るくよく笑う奴だった…俺のこれまで知らなかった姿に惚れてしまったんだ…
「深雪」
「ゆう…。おいで…」
細くなってしまった深雪が手を差し伸べ誘う
「僕今体力自信ないからゆうに任せっきりになっちゃうけどいいよ」
そういい俺の頬に手を添えキスをしてきた。弾力のあった瑞々しい唇は今は栄養不足でかさかさになってしまってプックリとしていた頬はこけてしまっていたけれどやはり美しさは健在で…儚さを纏う顔はもうただただこの世のものとは思えないほどに…こんな人を未だに俺は他では見たことがない…
「深雪…」
そっとベッドへ押し倒し只管に優しくした。
「ゆう…気持ちいい?」
「うん…深雪は苦しい?」
「苦しくない…気持ちいいよ…ゆう。ありがとう…」
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