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深雪の場合/28
「見違えたぁ!僕の目は間違ってなかったよ。なんでずっとそんなボサボサな髪だったの?こんなに可愛い顔隠して!勿体ない」
「かっ…可愛い?…え?…俺が?」
「うん」
「え…だって…皆汚いって…醜いって…ずっと…だから…髪伸ばしてぐちゃぐちゃにして皆に見せないように…隠して…皆に会わなくていいように今のとこに就職して…」
「うん。みんな羨ましかったんだろうね。あまりにも可愛いから。僕もね昔は凄く貶されてた。この顔」
「そんな!深雪は天使だよ?」
「あははっ!自分の容姿が綺麗だって知ったのは小学校に上がってからだよ?ゆうがねみんなの前で言ってくれたの。他の人と違ってすごくすごく綺麗だね。天使みたいだねって。」
そうだった…ゆうが言ってくれたことで周りも認めてくれて僕の容姿は優れてるらしいって気が付けた。だから少しだけ自信がついて前を見て歩くようになったんだ…やっぱり僕は何度もゆうに救われてた…
「それまではノアと同じ。自分は見た目も他の人とは違うし気味が悪いって思ってたし家の人から醜いって、汚いって言われ続けてた。色んな親戚の家をたらい回しにされて行くとこ行くとこでね。僕は少し気付くの早かっただけ。ねぇ。ノア。これからはちゃんと前見て歩いてね。君は大丈夫だよ。でもねゆうは譲れないの」
「深雪!」
「はーなーしーてー!!ノアビックリしてるから」
「みーゆちゃーん」
「やーめーてーよー!!」
「…あの…えっと…」
「ノーア!笑って?」
そう言うとノアは戸惑いながらはにかむ
「可愛い!!」
「ゆー!浮気だめ!絶対」
「えぇ!するわけないでしょ?俺は深雪しか見えてないよ」
「あの…えっと…」
「ノア。もう一度言うね。ゆうはあげない。悪いけどそれだけは譲れないの。だってもうすぐ10年になるの。ゆうのこと想い続けて…」
「え…」
固まったのはゆうだった
「わかりました…由斗は…諦めます…それにきっと由斗に対する俺の思いはおそらく恋愛ではなかったと…今ならわかるから」
「深雪…あの」
「ゆう。これに関してはまた後で話してあげるから」
「…うん」
その後ジョンとウィルを呼んで食事会をした。沢山動いてくれたウィルに申し訳ないけど僕たちが言うならと渋々ノアを許してくれた
「うわぁ!!可愛いねぇ!こんなに可愛いならあんなことしなくても…」
「ジョン。それに関してはもういいの。ノアと仲良くしてくれる?」
「うん!勿論だよ。よろしくね」
「どんな理由があろうとも勝手に何でもやって言い訳じゃない。俺はね本当はすぐにでもお前をブタ箱にぶちこみたいくらいだ。ゆうがそれはしなくていいというからしないだけ。わかってるよな?」
「はぃ…」
「わかればいい」
「ごめんなさい…」
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