316 / 321
深雪の場合/32
「路」
「由斗?」
「俺ね今深雪と付き合ってるんだよ。」
「え?」
「みんな範囲狭すぎだよね。笑える!!更紗と賢人だし、律と京だし、俺と深雪だし。智輝とお前だし。周り見なさすぎだよねぇ。でもさぁ仕方ないかもね。だってみんな綺麗すぎるし他の人なんて霞んじゃうよね」
へらへらと笑いながら由斗が言う。
「もう。由ちゃん!!もう少ししてから驚かそうって言ってたのにぃ…」
最近はちゃん付けに戻っちゃってることがある由斗の呼び方。なんかそう呼ぶとあの頃の想いも一緒に持ってる気がして嬉しいの
「だってぇ二人並んでる姿が可愛すぎてつい」
「何それぇ!!もう…由ちゃんたら…」
相変わらずの軽口でにこにこしてるゆうに僕は心底惚れてる。
「路夏」
久しぶりに聞く智輝の声にゆっくりと振り向く。相変わらずな美貌で異国の王子さまみたい…
「智輝。知ってた?二人の事」
「え?」
「だから二人が付き合ってるって」
「そうなの?そうなんだ…そっかぁ…お似合いだね」
あれ?ゆうそれは伝えてなかったのかな?智輝はあんまり大袈裟に驚くような人じゃないけど一瞬目を見開いて固まったからこれは相当驚いてる顔だ…
前より解りやすくなったことに嬉しくなった。前は感情を笑顔で何重にも本人も気付かないうちに隠してた智輝の大きな変化。やっぱりミッチーはすごいなって思った。
みっちーと智輝が目配せをして二人一緒に微笑む姿が凄くお似合いだ。それを見たゆうもほっとしたのかゆっくり目を伏せて息を吐く。
「路。智輝。お前たちはこれまで色々ありすぎたね。でもさ。これだけ悲しいことも辛いこともあったんだ。きっとこれからは楽しいことばかりだって俺は信じてる。お前らがこれから先もずーっと幸せに笑っていられること願ってるよ。大好きだよ。路。智」
「ありがとう…由。俺もお前が大好きだよ。」
「由斗がいなかったらって想像するのは怖い…いつも側にいてくれて…ありがと…大好き…」
智輝とみっちーの大好き発言に何だかムッとする…友情だってわかってるけど蚊帳の外みたいで悲しい…
「うわーっ!俺モテモテ?」
そんな僕の感情には気付いてるのか気付いていないのかよくわからないゆうに少し腹が立つ…
「由のばかぁ」
「なぁに?ヤキモチ?みゆちゃん」
「みゆちゃん言うな!」
情事のときのこと思い出しちゃうじゃんか!もう!ゆうのばかぁ!!
拗ねた表情の僕を見つめる顔がカッコ良すぎて…ずっと盗み見てた
「智。結婚式には呼んでね!一緒にいくから」
「うん。勿論。由。お前も幸せにな」
「俺には誰よりも愛してる天使ちゃんがいるんだよ!幸せにならないはずないでしょ!」
「そうだよね!深雪。これまで色々ごめんね」
「ううん。僕は智輝が居てくれてゆうに出会えて…だから生きてこられたよ。本当にありがとう」
みっちーの快気祝いのパーティーが終わって帰路についた
ともだちにシェアしよう!