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第3話 父の日、その夜 15禁
3. 父の日、その夜
その日の夜遅くに帰ってきた草太はやけに疲れていて言葉も少ない。
「 雄介は?」
「 うん、さっきまで頑張ってたけど、もう寝たよ 」
「 そっか、悪かった。もっと早く帰れるつもりだったのにな、おふくろから呼び出されてあっちに寄ってきたんだ 」
「 大丈夫、それより父の日のプレゼントがあるよ。雄介から 」
テーブルの上のお父さんの絵と手作りの金メダルを草太に見せる。
草太は僕が渡した方じゃなく、まだテーブルの上にあるもう一枚の絵を見ながら、
「 馳……」
と言って黙り込んでしまった。
親との話は聞かない僕と、自分からは話さない草太。
雄介から、
僕にはお父さんが二人って言われて酷く嬉しかった事も伝えられずに、
お互い触れないようにするその空気を、
東京に帰り更に臆病になる僕は読み違えているのかもしれない。
その夜、いつにない性急さで寝間着を脱がし裸にした僕の身体にのしかかる草太。
喉に軽く歯を何回か立てた後、乳首を啄ばみ手は背中を辿りながら双丘の割れ目に向かう。
強く二つの山を後啌の入口を刺激するように揉んだ後、身体をずらして僕のものを咥える草太に、
「 ダメ、あ、そんなにしたら、
こ、声……あ!
ゆうに聞こえちゃう 」
という僕の言葉は、伸び上がって重ねられた口と強く根元から吸い上げられた舌に霧散する。
器用に開けたローションの蓋をベッドの下に投げやって、粘度のある液体をまとわりつかせた長い指が迷わず僕の狭路の中に入ってくる。
喘ぎ声さえ飲み込むような唇と
増やした指で後啌内を開かせる、
その熱くなる草太の行為と、どこかで冷える気持ちが消せない僕のセックスは、予想以上に素直に開いていかない僕の身体にダメージをかけた。
猛った太い先っぽをローションで濡らし開いた襞に押し当てられるのに、
女じゃないから中からは濡れない男の身体、
でも、男だから与えられる刺激で先走りを滴らせながら腹につくほど昂る性器。
重くなった快感が唸りを上げて背骨を走ると中の草太を食い締めた。
ああ、いく……っ、こんな時なのに、
重ねた身体は共に頂点を目指し、同時にいった。
心を裏切ったような行為の後に残ったのは、虚しい表情でお互いに吐き出した欲望だけだった。
「 今日は辛いだろ、寝てて良いから 」
と雄介を連れて外に出ていった草太は朝から僕の顔を一回もきちんと見なかった。
そして、昨夜の行為の間も一言も僕に声をかけなかったね。
知ってるか?草太……
そんなことが一番僕にはきついんだ。
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