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第4話 呼び出し
4. 呼び出し
次の週、大口の契約が入り忙しくなった僕は殆ど雄介のお迎えには行けなくなった。
無論、夕方の保育園のお迎えには普段でも間に合わないから8時過ぎに僕か草太が迎えに行くのだけど、長時間保育は雄介が可哀想と
週に2日は草太のおばさんが5時にお迎えに行く。
今はちょうど6時になったところだ。事務所の中も非正規の社員の人は退勤していくのでもう3分の1の人は居なくなっていた。
今日火曜日は雄介、今頃は草太の実家にいる時間だなとコーヒーベンダーの前で休憩を入れながら事務所の時計を見てぼんやりと確認しているところに、電話がかかってきた。
私用のスマフォなので、出る前に発信者の確認をするが名前を見て驚いた。恵さんからの着信だった。
雄介になんかあったのかと慌ててトイレに駆け込むと、通話を押す。
耳に聞こえてきたのは、何年ぶりかで直に耳にする恵さんの高めの声だった。
「 お久しぶり、わかりますか?
高梨恵です 」
「 はい、わかります。
あの、それで 」
「 そう、今日連絡させてもらったのは、柴山さんにお話があるのでお会いできないかと思って 」
「 僕に?
話ですか? 」
嫌な予感がした。恵さんが僕に話があるって、草太と雄介のこと以外には考えつかない。
「 はい、今週お会いできませんか?ごめんなさい急いで会ってお話したいので、今週お願いしたいのですが時間は合わせますから 」
電話越しの強引なその口調に、
「 今週は僕も本当に忙しくて 」
と、ムッとして返す。
「 夜遅くても構わないです。会社のそばまで行きますから 」
畳み掛けるように言われたその言葉に、
「 それなら、今日でもいいです 」
投げやりな返答を返して、
身体が空き次第連絡を入れると話をし通話を終えるなり乱暴にスーツのポケットににスマフォを放り込む。
最後の一言、
「 草太には言わないで 」
という不愉快な言葉を払いのけるように。
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