お酒、いっぱい飲んだのかな。シャワーでシャッキリしたと思ったけれど、ごろんと横になると、けっこうクラクラする。 「あそこに土屋がいるの、変な感じがした」 「あそこ？」 「ゲイバーに」 「あぁ。そうか？」 　うん、と頷くと、やっぱりクラクラした。 　どのくらい飲んだっけ？　それとも、恋に酔っ払ってたりして。なんてことを思っちゃう辺りが酔っ払いだ。 「だって、あの土屋だもん」 「どの土屋だよ」 　この土屋ですって、笑いながら、少しだけ起き上がって、上から覆い被さる土屋にキスをした。ほら、酔っ払いだからちょっと起き上がるのが精一杯で、その体勢をキープすることは叶わず、すぐに唇を離してしまったけど。今度はそのキスを追いかけるように、土屋が舌を入れてくれる。 「ン、ぁっ……ふっ……」 　息ができなくなる、絡まり合うキスに酔っ払った唇からはすぐに唾液が溢れて垂れてしまう。はしたないけど、涎を気にせず、自分からもやらしく舌を絡めて、飲んで、舐めて、啜って。 「ぁっ……ン」 　唇が離れるころにはお腹の底のところがジンジンと疼いてた。 「ぁ、ン」 　欲しくなる。 　言ったら、引かれちゃうかな。 「須田」 「ぁ、あっ」 　舐めて欲しいって、乳首、舐めてって言ったら、昨日は言えなかった。もういっぱいっぱいだったのもある。土屋が初めて男を抱くのに抵抗がないかどうかをたしかめるのに必死で、気持ちイイのと不安とでごちゃごちゃだった。 　けど、今日はお酒の力も借りて、昨日よりも、なんか、欲しい度がアップしちゃってる。ホロホロに理性が崩れて、溶けちゃってる。 「あっ、ン」 　胸に、欲しい。けど、胸って、女の子とは違う、でしょ？　硬いしちっこいし、何も、ない。 「須田」 「？　ぁ、ンああああっ！」 　頭を撫でられて、クセのある髪をかきあげられ、乱されながら、乳首にキスをされて、欲しかった刺激が欲しかった以上の気持ち良さで襲い掛かる。 「ぁ、ン、やぁっ……ン、ぁっ」 「……」 「あぁぁっン」 　声が止まらなかった。乳首をびしょ濡れに、あの唇にされて、おかしくなりそう。ぐちゃぐちゃに乱されてしまいたくて、何もないのぺっとした胸をその舌に押し付けてしまう。 「ぁ、ン」 　コリコリしてるって自分でわかるくらい、乳首で感じちゃう自分が恥ずかしいのに、止められない。舐めて、齧られて、たくさん、されたい。 「色々話したって言っただろ？」 「へ？　あ、……っ、うん」 　今、急に、さっき帰り道ではぐらかされた会話の続きをされて、びっくりした。あの時は聞きたかったけど、今はちょっとそれどころじゃなくて、話してる間少し状態を起こす土屋に勃ってツンとした乳首を見られてるってだけで感じて、反応して、背中をゾクゾクしたものが駆け巡る。 「ひとりが言ってた。須田みたいな感じはベッドで乱れてスケベっぽいのに、そこも真面目なのか？　って。毎回つまらないって言われると泣いてて、意外だと思ったってさ」 「ホント、だよ。よく言われたもん」 　あんま上手じゃないんだ。セックスも恋愛も、すぐにぽーっとしちゃうから。今だってそう。乳首されて、もう痺れるほど気持ち良くなっちゃってる。 「待って、下手だけど」 　起き上がると、ふわふわしてる。けど、今度は体勢を入れ替えて、俺が上になって、覆えてないけど被さった。 「あんま、気持ち良くないかも、だけど」 　心臓の音が聞こえる胸にキスをして、引き締まって筋肉が見て触れるほどに逞しいお腹にも唇で触れて、そして、そそり立ったペニスにもキスをした。 　先端にちゅって唇で触って、そのまま舌を使いながら、口に含んでく。 「ンっ……んく」 「須、田」 「ん」 　熱くて、硬くて、根元まで口で咥えるなんてできない土屋のペニス。 「ン、ぁ……ふっ」 　丁寧に舐めてしゃぶって、口を窄めて、扱いてみる。たまに先端にちゅって吸い付くと、ピクンって跳ねてくれるのが嬉しかった。そのまま挿入みたいにまた口に含んで。 「須田っ」 　土屋がしかめっ面になると気持ち良くできてる気がして、もっと大胆に舌を絡めて啜ってみる。昨日、自分の中でビクビクと跳ねていた熱の塊。 「どこが……」 「んんんんんっ」 　フェラしてるのに、今、散々可愛がられた乳首を指で摘まれて、腰が猫みたいに高く上がった。フェラしながら乳首をいじられて、お尻が入れてってねだるように揺れてしまう。 　こんな自分は知らない。こんな乱れたお尻なんてさ。 「どこが下手なんだっつうの。さっきからずっと、すげぇ、けど？」 「ぁ、ふ……ン、ホント？」 「っ」 「下手、じゃないなら、これ、も、いい？」 　これ、欲しいよ。そうねだって唾液で濡れたペニスをぎゅっと握って扱くと痛そうに土屋が表情を歪める。 「土屋」 「……まだ、ほぐしてねぇだろ」 　そそり立つペニスの先端にキスをして、跨って、も、いい？ 「平気、えっと……昨日、したから、平気。ここ、まだ柔らかいと思、ぁっ、あぁぁぁっ」 　入ってきたのは指。いいって言ったのに、それでも傷つかないようにと、柔らかさを確かめて。 「あ、やぁっ……ン、ぁ、」 　上から抱きついて、跨ってるせいで大きく開いたお尻に指を咥えながら。 「土屋っ、ぁン」 　これは逆に意地悪だって。フェラで痛そうなほど張り詰めてくれたペニスを中に欲しいのに、もどかしくて、腰が貪欲に揺れてしまう。 「ぁ、お願い、だからっ」 「っ」 「土屋ぁ……ぁっあっ」 「穂高」 「ぇ？　ぁ、何？」 　土屋穂高、名前もカッコいいんだ。 「穂高って呼べよ」 　あの美人人事さんは土屋さんって呼んでた。土屋は土屋だから、俺もそう呼んでた。 「あ、ン、穂高」 　俺だけがそう呼べるのって、どうしよ。とろけるほど嬉しい。 「ぁ、穂高の欲しい。挿、れて」 　ぎゅっとしがみついて、懇願した。穂高って呼べるだけでこんなになっちゃうくらい好きだから、離したくなくて、すごく欲しくて。 「穂高、ぁ」 「くそっ」 　抜ける指に小さな声が零れる。鼻にかかった甘えた声をあげて、そして。 「ぁ……、ン、早く」 「待ってろ、ゴム」 　うん、待ってる。 「も、いい？　これ、穂高の、欲し」 　孔に触れる自分の口でたくさん舐めて大きくしたそれに、ゾクゾクッて、快感が走り抜ける。 「祐真」 「！　ぁ、ンっ……あっぁ、ああああああああっ」 　名前を呼ばれながら、待ち焦がれてた大きさに身体を抉じ開けられて、背中をしならせるくらい勢い良く射精してた。 「ぁっ……ン」 「祐真」 「ぁ、ンっズル、い……ンくっ、今、動いたらっ」 　引き寄せられて、倒れこんでも大きな胸が抱き締めてくれる。 「ン、んっ……んんんっ」 　挿れただけでトコロテンしちゃった。でもそのくらい気持ち良くておかしくなりそうで、名前を呼ぶことだけでこんなに身体が感じてる。 　何、これ、すごいよ。 　射精後でうねる内側を掻き乱されながらのキスにどうにかなっちゃいそうで、怖くて、大きな背中にただしがみついて啼いていた。甘い声で土屋の名前を何度も呼んでいた。