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第54話 深い意味

 恋はいつか終わる、そんなことないって、思えるんだ。 「ぁ、ンっ……穂高」  ただいまと同時にされた濃厚なキスは酔っ払いな俺には刺激が強すぎた。唇が離れた瞬間、よろけて、腰を抱いてもらいながらかろうじて立っていられてる。引き寄せられて、身体が密着すると、熱くてどうにかなっちゃいそう。 「祐真」  穂高となら、この恋は、きっと――。 「んっ」 「祐真」  抱き締められながら、額を触れ合わせて、名前を呼ばれるだけで、とろけちゃいそうになる恋だから、これはきっとさ。  きっと、すごい恋になると思うんだ。 「穂高、あの」  手を繋ぎながら帰ってきた。月明かりに照らされる穂高の横顔はずっと笑ってて、声は楽しそうで、手はあったかかった。  この帰り道、ずっと、穂高のことが好きだなぁって思ってた。だから、今、穂高のうちに来て、まだ玄関だけどさ。 「あの……」 「何? 焦らすなよ」 「その」 「……」  まだ、玄関だけど。 「セックス、したい、です。えっと、その、まだ準備してない、けど、もし、できることなら」 「祐真」 「は、はい」 「……準備ってお前は言うけど。俺は」  まだ、玄関なのに、息が詰まるくらい熱い。 「俺は、それひっくるめてセックスだと思ってる」 「……」 「わかった?」  触れ合ったところが熱くて、押し付けられた場所が硬くて、どうしよ。俺、腰のところがジンジンしてる。 「う……ん」  だから、返事と一緒にまたキスされて、ここで、イっちゃうかと思ったんだ。 「あっ……ン、穂高ぁっ……ン、そこっ」 「祐真」 「んひゃあぁぁっ!」  中を指でまさぐられて、前立腺を内側から撫でられながら、背中を穂高に齧るように愛撫されたら、イっちゃうってば。  バスルームに響く自分の声がとても甘くて恥ずかしいし、今のこの格好も恥ずかしいのに、そんな俺と向かい合わせで見つめる穂高がすごい顔してるから。なんか、恥ずかしくなくなっちゃうんだ。身体を洗う場所で甘く啼いてしまう。身体を温める浴槽の縁に脚を行儀悪く置いて、穂高の指に悦んでる。触られてないのに、もう、前、こんなにしてる。それを、穂高に見られて、また、お尻のとこできゅんきゅんして。 「あ……ン」  恥ずかしいけど、見られて気持ちイイ。だって、俺のこと見つめる穂高が、男の顔してる。 「ぁ、ン、気持ち、イイっ、ぁ、あっ」  その顔がたまらなく愛しくて、両手で包み込んで見つめてしまった。額に滲む汗も、少し上がった息も、触れると熱いほっぺたも、全部、恋しくて。  引き寄せてキスをした。丁寧に唇を重ねて、触れて。離れようと思ったら、追いかけて深いキスで唇を塞がれてしまう。舌が擦れ合って、唾液が零れちゃう。 「んんんん」  キスしながら、中を抉じ開けられるとたまらなくて。ほら、指にしゃぶりつくと、イきそうって気がつかれてしまう。 「感度、すげぇな」 「あ、ああああっン ン、だって、穂高の手、大きい」  その手にペニスを包み込まれて、腰が勝手に揺れちゃうんだ。 「あ、気持ちイイ、穂高の手」 「エロ……」 「だって」  夢中になって、腰くねらせて、指も食べちゃいたいみたいに孔の口でしゃぶりついて。 「あ、ぁっ……ダメ、穂高っ」 「……」 「も、出ちゃう、声っ」  ダメだってば。ここ、バスルームでうるさくしちゃったらダメなんだってば。穂高は、だって、穂高は。 「キス、して」  穂高は、ノンケなんだから、同性とこんなことしてるって、響く声でご近所さんに。 「あ、ンっ、ダメ、出る、イくってばっ」 「……」  中がきゅぅんって締め付けた。も、イっちゃう。声、出ちゃう。  だから、慌てて手の甲で口元を押さえようと思ったのに。 「あ、ぁっあぁぁぁぁっ……やぁぁぁっンっ」  急に前かがみになった穂高が乳首にキスしたから、声抑えるなんてできなかった。 「中、うねってる」 「あンっ」  乳首のとこをきつく吸われて、チリリって小さく甘い痛みが走った。そして、端正な顔が俺の貧相な胸から離れてると、そこに、綺麗に残る赤い印。 「俺のだ」 「ぁ、ンっ……ん」  キスのタイミング遅い。イったばっかりで乱れた呼吸を食べるみたいに、今、キスで唇を塞がれる。声、聞かれちゃうかもしんないのに。穂高はノンケなのに。 「ずっと、好きだった」  穂高はすごいモテてカッコいいのに。 「祐真のこと、ずっと好きだった」 「……」 「最高すぎる」  本当に嬉しそうに笑ってた。やだよ、もう。ズルいよ。これ。 「穂高……」 「ん?」  お尻のとこ切なくなる。 「今日、お願い。中……て……」 「祐真?」  穂高のことが欲しくなりすぎて、きゅんきゅんしてる。 「中に、して?」 「……」 「お腹痛くなっちゃうから、あとで出すんだけど、でも、今、中に欲しいんだ。あんま、そんな意味ないんだけど。っていうか深い意味ない、ンっ……っ」  くちゅりと甘い蜜の音がするキスだった。 「バカ、お前なぁ」 「あの」 「俺には、意味すげぇあるように思うけど?」 「っ」 「深い意味、俺にはあるんだけど?」  前準備があったり、バスタオル敷いたり、中に出されても後で掻き出さないとお腹痛くなっちゃったり、するんだけど。 「ある。意味、ホントは、ある」 「……祐真」 「穂高の全部、俺のにしたいから」  このセックスは、この恋は最高すぎる素敵なものって、確信を持って思えるんだ。 「俺の中に、して?」

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