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第7話 心の声。

水無月の声に自分を求め切望する響きが感じ取れ、文月の喉仏が上下に大きく動いた。「ゴクンッ」唾を飲み込む音が聞こえ、絞り出す様な声で水無月に尋ねる。 『…本気?』 「うん…」 『…ちょっと待ってて。』 水無月に一言告げた後、文月は脱衣所に行き、戻って来た彼の手には、ゴムとローションが握られていた。 「えっ? 何の準備もしてないって…」 『うん…嘘。本当は、お前を抱きたいと思っていたから、つい買っちゃった』 「いつから…?」 『入社式でお前を見た時から。水無月が俺を好きになってくれるとは思っていなかったから、お前を想いながら自分でしてた。流石に引かれるかなって思って嘘をついた。』 そう言って照れくさそうな表情を浮かべる文月を見て水無月は思わず彼に抱きついた。 「引くわけないよ!凄く嬉しい!!」 『ちょっ、ちょっと待って…先にシャワー浴びよう』 「えっ?何で?文月も?」 『う…ん。コレ言ったら更に引かれるかも知れないけど、俺、男とセックスした事無いから、色々調べたんだよ。』 文月は苦笑しながら話しを続けた。 『で、調べみたら受ける側の負担がやっぱ重いみたいで、きちんと処理しないと辛いらしいんだ。だから、シャワーで水無月の中を俺が綺麗にしてからにしよう。』 文月の話しを聞きながら、自分の顔が紅潮していくのが分かった。自分とセックスする事を想像するだけでなく、少しでも負担を軽くしてくれようとする彼の想いが嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。 (ん? …待って? 水無月の中を綺麗にする?いやいやいや、それはムリ!中の汚い部分を洗われるって事だろ?綺麗になった後ならまだしも… いやいやいや。何考えてるんだ俺は…) 水無月は心の中で自問自答を繰り返す中、彼が考え込んでいる表情を見て文月も又、心の中で呟き始めた。 (えっ? やっぱり引かれた?そりゃそうだよな… 付き合ってもいない時に1人で妄想して水無月とのセックスのシュミレーション迄して、あまつさえ、ローションやゴムまで買っちゃうなんて引いたよな…もしかして嫌いになった?やっぱり付き合うの止めるとか言われるんじゃ…いやいやいや。それだけはムリ!!) 文月は、口には出さない呟きを終えると、恐る恐る水無月に問いかけた… 『やっぱり俺としたくない…?』

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