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第8話 万歳三唱。
「へっ?」
『いや…だから。何か考え込んでいるみたいだから、俺とセックスするの嫌になったかなぁって。』
文月の予想外の問い掛けに、言葉が出て来ず、水無月は、ぽか〜んっと口を開いたまま、目を数回瞬かせた。自分の問い掛けに否定をしない水無月を見て、文月はガックリと肩を落とす。
(やっぱりそうか…1年前に一目惚れして、両想いって分かってやっと付き合える事になったのに…キスだけで止めときゃ良かった…)
『水無月が嫌なら、セックスしなくて良いよ。でも、付き合うの止めるとかは無しだ。』
水無月は彼が何か大きな勘違いをしている事に気が付き、頭を大きく横に振りながら、慌てて否定した。
「あっ違う違う!セックスしたくないんじゃないよ!文月に抱いて欲しい!」
『へっ?違うの?じゃあ、さっきの考え込んでいる様子は何?』
「うんっと…さっき文月が俺の中綺麗にするって言ってたでしょ?それって、俺の中を洗って汚れを掻き出すって事だよね?」
『…? ? 汚いなんて思ってないけど?』
(寧ろ、喜んでやらせて頂きたい。)
「いやいや、汚いでしょ。文月にそんな事されるの恥ずかしいし、耐えられない。」
顔を真っ赤にしてプルプル震えながら、小さな声で呟く水無月の表情を見て、文月の心臓は激しく波立った。
(何だこの可愛い生き物は。まだ舐めてもいないのに反則だろ。う〜ん…どうするかなぁ。綺麗にするって名目で水無月の蕾に指突っ込んで暴れ回りたい…んだけどなぁ〜〜。それ口にしたら、絶対拒否されるよな…)
文月は、狼が獲物を狙うかの様な欲望を水無月に気取られない様、極めて冷静な顔付きで優しい声で妥協案を口にした。
『じゃあさ、一緒に浴室に行って、俺が水無月にシャワーを当てがうから、お前が自分で綺麗にするって事でどう?ほら、俺は一応やり方調べたから、手伝った方が良いと思うんだ。』
「う〜ん。それなら良いかな…」
水無月は彼の意図に気が付かず渋々了承した。
『よし。じゃあ、行こう。』
水無月の柔らかな唇にキスを落としながら、水無月に気取られない様そっとローションを掴み取り、直ぐ様彼を抱き上げ浴室に向かった。
(上手く行ったな。風呂に行ったらこっちのものだ!)
文月は心の中で叫びながら、万歳三唱していた。
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