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第21話 ワインとパスタ。

文月が差し入れてくれた赤ワインと、周が作ってくれたホワイトソース掛けのオムライス・生ハムサラダが食卓を彩る。コルクを抜きグラスに注がれていくワインを眺めながら、水無月が口を開いた。 「昨日俺が買って行ったワインじゃないんだな。アレ好きじゃなかった?」 『好きだよ。』 「え…」 『あのワインは今度水無月が俺の部屋に来た時に一緒に飲む。』 文月の言葉に胸が騒めく。 (俺の事じゃない。文月はワインが好きだと言ってるだけだ。) 『昨日パスタ一緒に食べられなかったし…又、来てくれるだろ?』 文月は水無月と視線を合わさず、平静を装いながらも、心の内は祈る様な想いで彼に尋ねていた。 (水無月、言ってくれよ。今度俺の部屋に来るって。又、一緒にワインを飲んで食事をしようって。) 『パスタ?俺も好き!俺も一緒に行きたい!文月良いだろ?』 水無月の返事を聞く前に、周が笑顔で口を挟む。 (お前に言ってねえし。でも、水無月の事だから一緒に行こうとか言いそうだな…まあ、水無月が来てくれるなら良しとするか。) 『ああ。お前も来…』 「駄目。」 (え?水無月。今、駄目って言ったのか?俺の所には、もう来たくないって事か?俺、さっきからネガティブな事ばっかり考えてるな。) 『え〜〜。』 周が頬を膨らませる。 「一緒に行くのは、又次の機会にしよう。」 『ワインとパスタで俺も一緒に語り合いたいのに〜!何で駄目なんだよ。』 周が尚も食い下がる。 『なあ。文月〜。俺も一緒で良いだろ?』 『え?う、うん…良い…』 「周。俺が駄目だって言ったろ?」 (え?何が駄目なんだ?俺が良いって言おうとしたのに…あれ?水無月少し怒ってる?) 文月は、水無月と周が押し問答を繰り広げている理由が分からず首を傾げる。 『理由は?駄目な理由を言ってくれたら、別の日にしてやるよ。』 (おいおい。誰もお前に来て欲しいなんて言ってないぞ。なんだその上から目線な発言は。でも、このままだと険悪なムードになり兼ねないしな…) 『水無月。俺は構わないぞ。』 『ほらっ、文月が良いって言ってるしさ。』 (あれ?水無月、今度は泣きそうな顔してる?) 「分かった。文月が良いなら、それで良い。…ちょっとタバコ買って来る。」 水無月はスッと立ち上がり、玄関から出ていった。 『ちょっと意地悪し過ぎたかな…』 『意地悪って?』 『俺がお前に嫉妬したって事。』

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