27 / 112

第27話 馬鹿げた提案。

(最後のキスのつもりだった。それだけで終わらせるつもりだった。なのに…) 文月に顎を掴まれた。 「はぅっっ。」 唇を抉じ開けられ、文月の舌が咥内で暴れる。 「くちゅくちゅっぴちゃっ」って音を立てて俺を誘う。 文月が一旦唇を離して切羽詰まった顔をしながら俺を誘う。 『水無月、俺を見て。』 目を開けると視線が絡み合った。 『舌。絡めて。』 そう言って又攻められた。さっきよりも深くていやらしいキス。頭ん中が痺れる。流されてしまいたくなる。彼の熱に夢中になって自身の舌を絡めた。 「んんっ、ふっ…」 シャツを捲し上げられ文月の手が俺の肌に触れる。胸元の刺激に背中がしなり、声が漏れた。 「あっ…」 堪らず視線を逸らすと、彼の肩越しにベッドの上で寝ている周が視界に入った。 「文月。ごめん。」 唇を離し彼の手を拒んだ。弾む呼吸を整えながら文月が俺に尋ねて来る。 『水無月。無理って言ったのにどうして俺にキスをしてきたんだ?』 文月の唇が2人の涎で濡れてる。きっと俺の唇も同じだ。欲情してるお前の顔。俺以外の人には向けて欲しくない。 「文月の願いは受け入れられない。」 『……』 「でも…。」 『でも?』 「セフレなら良いよ。」 『セフレ…セフレって水無月と俺が恋愛抜きの身体だけの付き合いをするって事か?』 「うん。友達だけど身体の関係も持つ。お互い束縛はしない。何方かに好きな人が出来たら、その時点でセフレは解消して只の友達に戻る。どう?」 俺の提案に戸惑った表情を浮かべてる。 (誰にも触れさせないでって告げた相手に、こんな馬鹿げた提案されたら、戸惑うよな。言ってる事が支離滅裂過ぎて、自分でも呆れる。) (文月は俺と違って同性愛者じゃない。偶々俺を好きになっただけ。俺なんかじゃなくて、ちゃんと異性と恋愛して結婚して、暖かい家庭を築いた方が良いんだ。お前ならきっと、良き夫、良き父親になれるさ。俺が突き放せば済む。) (それでも、少しの間だけお前の傍に居させて欲しい。お前が他の誰かを好きになるまでで構わないから、、其れ迄は俺の傍に居て欲しい。これは俺のエゴだ。分かってるよ。だけど…どうしようも無い程、お前が欲しいんだ。) 水無月は文月を誘う様に、再び彼の唇に触れ、2人の涎を親指の腹でそっと拭った…

ともだちにシェアしよう!