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第51話 今だけは…

何度も触れるだけの口付けを交わし、頬を伝う涙を吸った。喉仏を唇で柔く喰むと水無月の身体が僅かに震える。 「周、待っんんっ…」 咥内に舌を挿し入れ、彼の舌を捉えた。くちゅっ…ぴちゃっ…舌と唾液が絡み合い熱を増し、唇が艶めく。 『はぁっ…』 「んんっ。ふっ」 咥内を侵しながら水無月を抱き上げ、寝室のドアを開ける。ベッドの上で彼を組み敷くと、シャスのボタンを外し、足元に脱ぎ捨てた。 (好きだ…お前が好きだ。) 『はぁ…はぁ…』 「周…」 『教えて。』 「教えてって…何を?」 『文月の事が好きか?』 「好き…」 (俺を好きにならなくても良い。笑顔でいてさえくれれば、それだけで良いのに…) 「でも…うぅっ…ふっ…」 『でも?』 (泣くなよ…) 「ふっっ…今は…少しだけ…」 『少しだけ?』 「辛い…」 (そんな辛そうな顔を見たら、そんな言葉を吐かれたら、独りになんてさせられなくなる…) 『水無月、明日になったら忘れてくれても良い。無かった事にしてくれても構わない。だから…今だけ、この瞬間だけは、文月の事は考えるな。俺に全てを委ねろ。』 答えを口にする前に、自身の唇で彼の唇を塞いだ。 「はぁ…んんっ。」 押し退けようとする腕を左手で掴み、右手を下腹部へと滑らせる。咥内を貪りながら下着の上から擦ると、硬化していくのが手の平に伝わり周の熱を煽る。 「うっふぅっ…周…」 『ふぅ……』 水無月の声に反応して、先程治った筈の熱が再び息を吹き返し、ジーンズの中で苦し気に喘いでいた。カチャカチャリ…ベルトに手を掛け、下着毎一気に脱ぐと、硬く誇張した雄が自身の腹を打った。 『くっ…』 彼の下着もズリ下ろすと、周と同様に、反り勃った陰茎がぶるんっと顔を出した。手を這わし、濡れた先端を指の腹でなぞると、ぱちゅぱちゅっと音が鳴り、さらりとした露がとろりとした蜜に変化する。 「あぁっ…くぅっん…」 『水無月…此処…いやらしい音がしてる。』 腰を屈め、火照った全身を舌で愛撫する。胸の突起をちゅっと啜ると、ビクッと小さく震えた。指先でクニクニと弄りながら、顔を降下させ、亀頭に舌を這わせるとヌラヌラと先走りで濡れていた。 「駄目…んんっ。」 腰を強く掴み、今度は其れを口に含む。前方に目を向けると、期待と羞恥に入り混じった水無月の表情が周の瞳に映り込んで来た。男根まで一気に咥え、じゅぼじゅぼと上下に何度もスライドさせると、彼の口端から淫声が漏れた。 「ふっ。あふぅうう、、」 舌先で突くと呼応するかの様に「ぷちゅんぷちゅ」と音を奏で蜜が溢れ出る。周は上半身を起こし、淫核を撫でながら、水無月の艶めかしい肢体を眺めた。 「俺…もう…あっっん…」 『はぁ…うん…』 陰茎を扱きながら、顔を近づけた。舌を出し、カリ首を舐めしだいた後に喉奥まで頬張ると、水無月が快感で背を仰け反らせる。周は、尿道をなぞる様にしゃぶり上げ、パクリと開いた先端を強く吸い上げた。 「ひぁあっ、ぁああっ!!」 嬌声を上げ、弾けた熱が、周の咥内にどくっどくっ…と流れ込み、水無月の全身から力が抜けた。

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