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第53話 途切れた理性。

水無月はベッドから降りて、引き出しの3段目に手を掛けた。其処には、先程目にした封が切られていないコンドームの箱とローションが入っている。周は、彼がこれから自分としようとしている行為が何なのかを瞬時に悟った。水無月が、一歩、又一歩と自分に向かって歩いて来る。周はベッドサイドランプに手を伸ばした。 仄かな灯りが水無月の滑らかな肢体を照らす。呼吸が浅くなり、脈が早まる。頬を撫でられ、身体が震えた。衝動を堪え切れず、水無月の腰をぐいっと引き寄せ、膝の上に跨がらせた。 乳首を甘噛みすると、口元から艶めかしい吐息が漏れる。 「んあっ…」 突起を舌先で弄りながら、水無月が手にしているコンドームの箱を傍に置き、ローションの封を開けた。トロリとした液を手に垂らし、濡れた指先を後孔にそっと這わせた。周は水無月を見据え、喉奥から絞り出す様な声で彼に問う。 『水無月…此処に触れたら、俺は最後までする。止めるなら今しか無いぞ。』 水無月は口を閉じたまま、彼の陰茎の根元に指を這わせると、尿道に沿うようにつつぅ…っとなぞり上げ、扱き始めた。周の先端からは先走りが漏れ、水無月に扱かれる度に脈が波打つ。 その瞬間、ギリギリのラインで保たれていた理性がぷつりと途切れ、左腕で水無月の背を支えながら、右手中指の第一関節迄を彼の後孔の中につぷっ…と沈めた。 「ああっっ…」 水無月の唇を貪りながら、中指を出し入れし、入り口付近をゆっくりと解す。くちゅくちゅ…と音を立て徐々に蕾が開いていき、2本、3本と指を増やし入れ、動きを早める。 「ま、待って…そんなに早くされたら…あっん…」 『みー、此処…だよな。』 「駄目…んんっ…あっ…」 内壁の一箇所に狙いを定め、指で強く擦ると、後孔内がきゆっと締まる。身悶えする水無月の裸体を抱き締め、夢中で指を動かした。 水無月も又、周と己の雄を擦り合わせると、溢れる蜜を塗り付け、濡れそぼった陰茎を扱く。互いに愛撫の手を緩めず、速度が増し、先端を引っ掻いた瞬間2人は絶頂を迎えた。 「あっ…はぁん…んぁああ!!」 『はっはっ…くぅぅっ……!!』 喜悦の声と共に白濁が飛び散り、互いの腹を濡らした。

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