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第79話 哀調。

(どうして待ってなんて言うんだ?俺に抱かれるのがそんなに嫌なのか?他の男には抱かせたくせに…) 『そんな目で俺を見るな。』 「…そんな目って?」 文月はクローゼットからフェイスタオルを取り出し、水無月の目元を覆った。 「文月…どうして?」 『昨夜の男は良かったか?』 (こんな事を尋ねるなんてどうかしてる。水無月を傷付けてしまった事を後悔した筈なのに…頭では理解していても感情が追い付いていかない。性懲りも無く毒を吐いてしまう…) 目隠しをされ、身を捩る彼の姿は淫蕩(いんとう)な色を湛えていた。吸い寄せられるように、しっとりとした肌に手を這わせ、胸の突起をクニクニと弄ると水無月の息が上がる。 「はっ…はっ…文月…」 身体中を舌で愛撫し、臍に溜まった白濁をちゅっと吸うと、口端から色香の有る声が漏れ聞こえ、文月の扇情を煽った。 「あぁっ……」 (昨夜もこんな風に乱れたのか?別の男に抱かれて喘ぐお前の姿を想像するだけでおかしくなりそうだ。) 『なぁ…男なら誰でも良いのか?』 「はぅん…そうじゃ…」 話をしようとする度に、文月の手と舌が目隠しをされて敏感になった水無月の肌を這い回り、言葉が上手く紡げない。 『はぁ…もう…何も言わなくて良い。』 荒ぶった熱が密孔に充てがわれ、水無月の身体が震えた。 「ん…ふっ…こんなの…待って…」 『嫌だ!!』 文月の硬く誇張した雄は留まる事が出来ず、其処から逃れようと後退る水無月の臀部を引き寄せ、一気に突き入れた。 「ぁぁあっ!!」 『はっ…凄く熱い…』 腰を掴まれ、密奥を攻められる度に腰がガクガクと揺れ、絶え間無く続く激しい律動に、繋がった箇所からは、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が漏れた。 「ひぃあっ…あっあっ…」 『はぁはぁ…こんな淫らな身体を…はぁ…他の男にも…見せたのか?』 「ふぁ…あっ…ぁあっ…嫌だ…」 『くぅ…中はうねってるぞ。何処が嫌なんだ?』 フェイスタオルを外すと、涙で濡れた瞳が現れ、視線を彷徨わせていた。手を伸ばし頬に触れると、ゆっくり瞬きをした水無月の目尻から涙が伝い落ち、指先を濡らした。哀調を帯びた彼の眼差しに文月の胸が軋んだ。 (そんな哀しそうな瞳で俺を見るなよ…例え、刹那でも、想いが通じ合えたら良いのに。其れが叶わないならいっその事…) 文月は密孔から滾ったままの芯をずるりと引き抜き、水無月の身体を反転させた。

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