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第101話 悩み。
あの日から水無月の態度がおかしい。普通に振舞っているようでも微妙に違う。
気の所為?
気の所為じゃない?
キスしたのがいけなかった?
けど、キスしてって言ったのは水無月の方だし俺が断われる道理が無いだろ?手がシャツの中に入って来た時には、思わず唇を離しちゃったけど。
だってなぁ…
あのままキスしてたら我慢出来ずに寝室へ連れ込んでめちゃくちゃに抱いちゃいそうだったから、理性をフル稼働させてなんとか堪えたけど、そもそも何で俺にキスを強請ったんだ?もしかして…俺の事を少しは想ってくれてるとか?
いやいやいや、そんな訳無いか。水無月が好きなのは文月なんだから、あのキスに意味なんか無い筈。
文月との関係があやふやで気持ちが不安定になってただけだろ。
其れなら其れで、相談してくれても良さそうなもんだが、最近の余所余所しい態度から察すると俺には言いづらい事なのかなぁ。
はっ!まさか…文月と上手くいってるから俺とは距離を置きたいとかそういう事?
彼奴とマンションでまったりイチャコラしたいから、いい加減部屋借りて出て行け的な?
友達に戻ったけど一応元彼なわけだし、このまま一緒に暮らすって訳にはいかないか…
文月だって俺たちの過去を知らないとはいえ、好きな相手が他の奴と住んでたら良い気はしないだろう。
『潮時かなぁ…いい加減腹括るか。』
「何を括るって?」
何って、水無月を諦める…あれ?水無月の声が聞こえたような…
『み、み、みー!』
「ちょっ!職場でみーとか叫ぶなよ。」
やっべぇ…仕事中だった。
『ご、ごめん。』
「誰も居ないから良かったけどさ…」
辺りを見回すと、水無月と自分の他には誰も居ない。
『皆んな何処に行ったんだ?』
「何処って…お昼食べにだろ。」
『もうそんな時間?』
本当だ。
「さっき、腹括んなきゃって言ってたけど、何の事?」
『あ、え〜っと、午後一の会議って外部のお偉いさんも来るだろ?プレゼン上手く出来るか不安だけど腹括んなきゃなぁ…って。』
苦しい。
我ながら苦し過ぎる言い訳。
「そっかぁ。でも、いつも通りやれば大丈夫だよ。」
信じちゃってるし。
しかも笑顔で頭ぽんぽんとかしてくるし。
「何で俺の顔じっと見てるの?」
何でこんなに好きなんだろうなぁ。
水無月、俺はお前の事がすげぇ好きだよ。
「周?」
けど、離れなきゃいけないよな…
『いや…何でもない。飯食いに行こうぜ。』
エレベーターへ向かって歩きだすと、水無月にシャツの袖をツンっと引っ張られた。
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