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対談 3(side:佐藤くん)
斉藤先生がうまく話のペースを作ってくれたおかげで、対談では読者が興味を持ってくれそうな話がたくさんできた。
これは良い対談記事になりそうだ。
「はい、ありがとうございました。
それでは最後に斉藤先生の写真をお願いします」
僕は多くのラノベ作家がそうしているように顔は出さないことにしたので、記事には斉藤先生が僕の受賞作と斉藤先生の新刊を持った写真が入ることになっている。
「せっかくだから、佐藤さんと一緒の写真も撮ろうよ。
記事にはならなくても記念になるから」
「あ、はい、ぜひお願いします」
斉藤先生にそう言われ、僕は受賞作を手に持ち斉藤先生に肩を組まれて写真に収まった。
後で担当さんにデータを送ってもらって部屋に飾ろうと思う。
「あ、すいません、斉藤先生。
サインをお願いしてもいいですか?」
「ああ、もちろん」
斉藤先生がうなずいたので、僕は持ってきた最初に読んだ斉藤先生の本とサインペンを差し出す。
「為書 きはペンネームと本名どっちにする?」
「ペンネームでお願いします」
今日の対談の報告がてらSNSに上げたいし、それに僕の本名はちょっとアレなのでペンネームの方がいい。
僕が答えると、斉藤先生は「佐藤みのるさんへ」と入れてサインをしてくれた。
「ありがとうございます。
あ、これ後でSNSにアップさせてもらっていいですか?」
「どうぞどうぞ。
ところで佐藤さん。
なんかまだ話し足りないから、良かったらこの後一緒に晩飯でもどうですか?
もし帰りの新幹線の時間が問題なければだけど」
「あ、ぜひご一緒させて下さい!
時間の方は今日はネットカフェに泊まって明日秋葉原とか行く予定だったので、何時まででも大丈夫です」
「え?
ネットカフェに泊まるの?
出版社の方でホテル代経費で落とす……のは厳しいか」
斉藤先生が担当さんの方を見ると、担当さんは申し訳なさそうな顔でうなずいた。
「はい、最近は経理が厳しいんで宿泊費までは出なくて……。
ごめんね、佐藤くん」
「あ、いえ、そんな。
交通費出してもらえるだけでもありがたいです」
僕と担当さんがやり取りをしている横で、何かを考えているような表情をしていた斉藤先生が口を開いた。
「佐藤さん、良かったら今夜は僕のうちに泊まらない?
布団くらいしか用意できないけど、ネットカフェよりはいいと思うよ」
「え⁈ いえ、そんないきなり申し訳ないですよ」
斉藤先生のご自宅にはちょっと興味があるけれど、さすがに初対面でいきなり泊めてもらうのは図々しいと思う。
「けど、僕のうちに泊まれば夜遅くまで話せるだろう?
よく友達が泊まりにくるから人を泊めるのは慣れてるから遠慮しなくていいよ」
「佐藤くん、そうさせてもらいなよ。
その方が僕も安心だし」
担当さんにもそう言われ、結局僕は斉藤先生のおうちに泊まらせてもらうことになった。
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